瀬戸内海地域振興助成成果報告アーカイブ

志々島、粟島島民と二ホンミツバチ、ヤギ農法のコラボによる花の島の復活

粟島・志々島活性化協議会理事 山地常安

活動の目的

志々島は周囲3.8km、面積0.71km2の詫間港から北へ5kmほどの沖合に位置する小さい島です。一時は1,000人を数えていた人口は現在24人ですが、Uターン、Iターンの島での暮らしを始める人が現れ、ここ7年間人口を保っています。平均年齢も若返り、現在は71歳になりました。
島では1955年頃より花の栽培が始まり、全盛期には連絡船に積み残しが出るほど出荷していましたが、今では1軒1人の農家を残すのみになりました。
季節になれば島一面にパッチワークのように綺麗な花が咲き誇り、対岸から見てもその様子が本当に美しかったという島外の方の声を今でも耳にするほどです。
しかし、現在は島の畑の90%以上が休耕地で荒地と化しており、花の栽培も1軒で行われるのみとなってしまいました。そこで私たちは少しでも花の島の復活を目指そうと、土地の整備に取り組むことにしました。
単に花を植えるのではなくヤギやミツバチといった生き物の手を借り、自然と共生する意識をもったうえでの環境整備を進めます。生き物がもつエネルギーとのふれあいで、何より島民にとり、活気や刺激が生まれることを期待しています。将来的には農業やヤギ、ミツバチなどから少しでも特産品や産業を確立することを目指しています。
島での暮らしが活性化する仕組みをつくり、島民が明るく、島全体を元気にすることが目的です。インターネット等を通じて活動の情報発信をし、近隣の地域や離島、他の地域とも距離や世代を超えたつながりの輪を広げていきたいとも考えています。

活動の経過

2012年2月にミツバチを迎え、2頭のヤギから現在は9頭に増えました。花畑はまだまだうまく進みませんが、それでも4箇所になりました。
本年度の活動経過は以下のとおりです。
2013年2月
・花畑の草刈作業
・子ヤギ誕生
2013年3月
・既存のマーガレット、連翹(れんぎょう)畑の草刈作業
・子ヤギ誕生
・雌ヤギの集合厩舎の工事続行
2013年4月
・ツツジの苗の畑の開墾と植栽
・子ヤギ誕生
2013年6月
・ニホンミツバチの蜂蜜を採蜜
・瀬戸内シーサイドマルシェに参加
・サルビア、マツバボタンなどを三豊市から貰い受け、植栽
2013年7月
・ヤギの放牧(植栽用地耕作準備)
・既存の花畑の草刈作業
2013年9月
・ヤギの放牧(植栽用地耕作準備)
・ニホンミツバチ2 回目の蜂蜜採取
2013年10月
・ランタナ、デイジーの苗の畑の開墾と植栽
2013年11月
・ヤギの集合厩舎の工事続行
2014年3月
・子ヤギ誕生

活動の成果

インターネットの発信や対岸でのマルシェにも「志々島の店」として参加した結果なのか、島外からの訪問客も増えました。
従来、島の観光は「大楠」を見学に来られる方が多く、年に2~3回は4~50名の団体が訪問されていましたが、現在はその頻度がほぼ2カ月に1回くらいになりました。
子ヤギを見に来られる方も増え、今年は8頭の誕生があり、7頭が引き取られました。
現在、ヤギのミルクを採取し、産物として加工品を作り出すために島外の複数の協力者とたびたび相談中です。
また、新たに綿花の栽培を計画するグループとも付き合いが始まったり、牛島との交流もあり、昨年はTシャツやマグカップなども製作しています。
「花の島」にはまだまだほど遠いですが、今年若い移住者も増え、高齢者の住民も以前に比べ活気が出て、笑顔が増えた感じがあります。

活動の課題

花を管理するにはかなりの人手を要することもあり、低木を中心に計画しましたが、これを機会に今後も継続していきます。主たる目的の一つでもある、比較的若い住民が生活の糧にできるように、ヤギもミツバチももっと安定した生産物を生み出せるものに作り上げることです。少しでも島の人口の増加に役立てばと活動を続けていきます。