瀬戸内海地域振興助成成果報告アーカイブ

第三期小豆島・三都半島活性化活動の展開  2013「花とアートの三都半島」

文化倶楽部I love Olive ! 河田 義昭

活動の目的

変化に富んだ海岸線と豊かな自然、多くの文化財に囲まれた三都半島には7つの自治会地区が互いに峠を挟んで存在している。当然、交流も限られ、三都半島全体を視野とする地区相互の連携活動もほとんど必要とされずに今日に至ったと容易に想像できる。7つの文化圏が存在する排他的気風のかなり強い地域でもある。2010年9月に“三都半島は一つ!”をスローガンに7つの自治会が結束し、「三都半島活性化協議会」を設立。疲弊する地域の再生・活性化活動は順調にスタートしたかに見えたのであるが…。第2回瀬戸内国際芸術祭に三都半島が参加決定。7地区巡回説明会で問題が浮上した。活性化協議会発足後、初体験の三都半島挙げての協力活動・共同展開とはいえ、地区間の連携・協働意識、情報伝達及び活性化活動への関心度・参画意欲などなど、7地区間に大きな温度差を感じた。芸術祭を間近に控え、地域活性化活動の要といえるこれらの課題を最重要・緊急テーマとしてとらえ、活動を位置づけた。

活動の経過

活性化活動の基礎基盤である地域住民の参加意識向上と地域間の連携・交流意欲の目覚めをテーマにした。
・地域住民の参加型イベントの企画展開
・地区独自の展開への支援と地区リーダーサポート
・円滑な情報伝達と外部パワーの導入
以上の3 点に的を絞り活動展開を図った。
芸術祭開幕を控え、3月10日に三都半島挙げて海岸クリーンアップ作戦を実施した。自主参加であったが、人口の2割超えの参加には驚いた。昨年来、町役場の瀬戸内国際芸術祭責任者とともに、3度に渡る地区巡回説明・打合せ会の成果が早くも出たのであろうか。
瀬戸内国際芸術祭という大きな潮流が持つ不思議な力の一端を感じ、前方に少し明るさを見出した。
高松短期大学・大阪経済大学から開幕直前に協力・連携の申し入れがあった。長年取り組んできた三都半島活性化活動が関心を呼び、彼らを引き寄せたのであろうか。

【主軸活動】
平成25年3月20日~11月4日  計156日間
・「島の家」…7地区のパフォーマンス舞台
・フラッグファミリー…三都半島の心を込めたおもてなし
瀬戸内国際芸術祭の期間中に協働・連携・交流の楽しさを実体験
【瀬戸内国際芸術祭応援・地域活性化イベント】
・花の祭典in三都半島(8月10日~18日、10月16日)
7地区の夏祭り、収穫の宴/ 秋祭り
各地区、芸術家、一般参加で交流を楽しんだ
・三都半島7 地区対抗グランドゴルフ大会(11月23日)
地区間交流と連携感強化が狙い。定例行事化を目指す。
・子どもアートワークショップ(8月1日)
海岸の敷石に花の絵を描く、瀬戸内国際芸術祭応援イベント。香川県・岡山県の小学生20 名参加。
・他地域との交流促進(4月10日)
高松短期大学…地域活性化活動交流
大阪経済大学…地域活性化研究連携
外部パワー導入の第一段階。今後の展開に大いに期待。

活動の成果

36組の個人ボランティア(フラッグファミリー)と7カ所のおもてなし活動(島の家)は来訪者のクチコミとメディアによる報道で、一気にブレイクした。
連日の賑わいは活動に関わる人への励みとなり、活動参加者数の増加とともに「島の家」おもてなしメニューに様々な工夫と特色が目立ち出した。懸案のテーマであった参加意識・交流の楽しさ・協働・連携に火がついたかのように、盛り上がっていった。笑顔のおもてなしは評判を呼び、反響の輪が広がっていった。
黄色のTシャツは瀬戸内国際芸術祭の顔として、大きな役割を果たしてくれた。
フラッグファミリーと島の家活動とでは個人活動、地域の窓口活動といった違いはあるが、内容は同じおもてなしである。会期半ばにして、当然のように島の家に黄色のTシャツが揚がり、Tシャツを着た人が巡回バスの運転手と連携して来訪者を次の作品展示場まで送迎し、さらに道や景勝地の案内まで行い、大活躍であった。

活動の課題

懐かしい原風景とおもてなしの三都半島。瀬戸内国際芸術祭を機に一気に認知度が上昇した。狙いとした協働・連携・交流・参加意識は大いに盛り上がり、成功したかのように思えたが一抹の不安は感じている。それは毎年賑わいを見せる秋祭りを終えた翌日に、まるで何事もなかったように淡々と日常に戻る姿と重なる。3年後の瀬戸内国際芸術祭を待つのではなく、盛り上がった気運をいかに維持し、持続性のある活動や計画を展開し、定着するまで続けていく気力が我々に残っているか問われている。
あれだけの活動力がこの地域に潜んでいた。
三都半島には恵まれた自然とおもてなし精神を持つ住民パワーが存在していることを認識させてくれた。課題は山積みであるが次への目標が見えてきた。価値ある156日間の活動であった。