瀬戸内海地域振興助成成果報告アーカイブ

伊吹島の海運・漁業資料の保存と活用

伊吹島研究会 三好兼光

活動の目的

伊吹島は漁業で成り立っている島で、いりこ以外にも鯛、エビなど豊かな漁業資源に恵まれていた。消えた漁法も多く、漁業・海運の資料も散逸している。資料をまとめ、漁港に続く旧道、船の飲料水を溜めていた井戸等、整備して次の世代に伝えていくことは意義があり、観光資源としても活用できる。古くからの港湾設備、坂道等の景観保存は観光客の増加、島の活性化につながる。

活動の経過

4月 活動計画の確認の会合。港に通じる旧道の草刈り、整備
5月 港の井戸周辺の草刈り、整備
6月 北前船寄港地の調査
7月 夏の草刈り、燧灘東西交流の調査
8月 朝鮮半島出漁資料調査、虫干し
9月 秋の旧道、井戸整備
10月 打瀬船の調査。調査記録のまとめ
11月 北前船寄港地調査。新潟・秋田現地調査
12月 冬の草刈り
1月 冊子のまとめ。井戸案内板作製
2月 冊子印刷、発送
3月 井戸落下防止金網設置。報告書作成・反省会

活動の成果

①古い港湾設備・港に続く坂道の整備
年4回の草刈りを実施。
島の古い景観が過疎と高齢化、島民の無関心により荒れ放題であったが、少し手を加えるだけでよみがえり、観光資源となった。
②「伊吹島の漁業・海運の記録」の冊子発刊
消えた漁具、漁法について調査、収集した資料をまとめ、A4版の冊子500部作成。
島の小中学校、公民館、漁協に配布。
県内外の図書館に献本。
国立国会図書館をはじめ、23図書館、研究所等に納めた。
島の先人達の苦労、進取の精神、漁場開拓等若い人たちの刺激になる冊子になった。
③案内板の設置
真浦、北浦の二つの港にある今は使用されていない船の帆を洗ったり、船の飲料水を調達する共同井戸に案内板を設置した。
どういういわれのある井戸か、島の若い人、観光客にも理解でき、喜ばれた。
間口の広い共同井戸でありながら、落下防止の金網が設置されていなかったので、金網を設置した。安全性が向上した。
伊吹島の漁業・海運の記録を残す活動を今後も継続していきたい。

活動の課題

伊吹島の漁業資料を調査する過程で、網元に大正時代から朝鮮半島に出漁していたときの帳簿類がダンボール箱2箱分見つかった(多くは昭和17年)。伊吹島の朝鮮半島出漁についての記録は少ないのでまとめてみたい(28年度瀬戸内海助成研究部門で助成決定)。島の景観保全については今後も継続していく。

  • 「伊吹島の漁業・海運の記録」の冊子作成

  • 放置されていた北浦港の共同井戸の整備

  • 放置されていた真浦港の共同井戸の整備