瀬戸内海地域振興助成成果報告アーカイブ

レモンチェッロ酒造でつなぐウィズコロナ時代の観光構築

株式会社瀬戸内ジャムズガーデン

活動の目的

周防大島の人口減少は急速で2007年に約2.1万人だった人口は現在約1.5万人。過疎化の原因の一つは地域に経済的循環を生む産業を創ってこなかったことにある。付加価値をつけやすい加工業、観光産業がまだまだ小さい。主産業の一次産業では農産物を農産物のまま出荷したり、日帰り観光の島(宿泊客が少ない)となっている。そんな中、コロナ禍により島の飲食業界や観光事業者が大きな打撃を受けている。そこで、このような時代だからこそ地域に勇気と実益を産む100年産業を創ることを目的とし、周防大島の特産柑橘を使用した新しい特産品「レモンチェッロ(レモンのリキュール酒)」開発・製造に取組むとともに、長期安定的な関係人口構築のため「お客様と事業者が共に歩む」Withコロナ時代の新しい観光交流を構築する。

活動の経過

●これまでのレモンチェッロプロジェクトの活動状況(まずはレモンチェッロの商品開発に向けた準備段階)
2018年10月~
「アルベルゴディフーゾ」で地域産業を創る勉強会を開始。イタリアのスローフード運動に詳しい島村菜津先生や金丸弘美先生にご来島いただき勉強会を実施
2020年 4月
コロナ禍の中、地域に新しい産業造りを決意し、周防大島町から内閣府へ「リキュール特区」申請を行っていただくよう上申(同年8月「周防大島果実酒・リキュール特区」認定)
2020年 8月
国税庁へリキュール酒造免許申請書を提出
2020年 9月
新しい観光造りにかかわっていただけるメンバー募集と設備資金集めのためクラウドファンディングを開始(11月に283名の参加者を得て終了)
2020年10月
酒造免許を取得。クラウドファンディングで集めた資金で製造設備を整え、商品開発を開始
2021年 2月
レモンチェッロの初蔵出し、および販売を3月から開始

●2021年度の取り組み(レモンチェッロプロジェクトの核となる「レモンの丘」の整備とつながり創り・商品バリエーションの拡大)
2021年 4月
レモンの丘の造成完了、記念植樹祭を開催ホームページの製作開始
2021年 6月
ホームページ・ECサイト制作完了
2021年11月
第2期の製造仕込み開始。多様な果実類と組み合わせた商品バリエーションの開発も開始

活動の成果

2021年度の目標である「レモンチェッロの開発及び販売の基礎を構築する」ことができた。具体的成果は下記の通り。
1  商品開発においては製造器具類の選定から実際の仕込み実験、そして商品の製造・販売までを行い、レモンチェッロ酒造事業の基礎を構築できた(年間目標製造量1㎘に対して年間製造量1.2㎘を達成)

2  シンボルとなる「レモンの丘」を造成し、共働メンバーと記念植樹会を開催した(コロナ第4波中のため、参加者は10組に制限したが参加者からはとても好評であった。その後もこのレモンの丘には定期的に来訪者がある)。

3  Web上でのつながり創り(特命農業部員専用の特設サイトやeコマースを構築できた、これにより、コロナにより島を訪れることのできない方々ともつながりを維持すること、経済循環を造りだしていくことができている)

また、受賞歴やメディア取材、講義依頼などの副次的成果は下記の通り。特筆すべきは、教育機関や行政が主導するイベントの講演依頼が増えており、一時的なブームというよりは、長期的な人材育成や社会活動の場においても、当取組みが評価・期待されていると感じている。その他に山口県「6次産業・農商工連携商品」としても認定された。
受賞/日本農業賞(大賞受賞)、農林水産祭(日本農林漁業振長賞受賞)
メディア/テレビ:NHK・テレビ山口・山口朝日放送・山口放送(継続取材を受けている)、雑誌:VOGUE・じゃらん・ゼクシィ等、新聞:中国新聞・朝日新聞・毎日新聞等
講演/山口農業高校、くじゅうアグリ創成塾、4Hクラブ(若手農業者の会)、周防大島高校、広島修道大学、農業未来塾(全国町村会)等

活動の課題

2021年度まではレモンチェッロプロジェクト(概要は画像③を参照)の基盤構築を進めてきた。酒造設備・技術の確立から製造・販売までを実現させるとともに、レモン栽培を通じた地域とつながる関係人口の構築にも取り組んできた。次年度以降はこの基盤をさらに発展させ、地域の経済循環の一つの核に育てていくことを目指す。具体的には、地域を巻き込んだ果実生産体制やレモンチェッロの販売体制を構築していく。その一つとして2022年度に宿泊事業領域での取り組みを重点的に行う予定である。

  • レモンの丘でのレモン植樹祭 風景

  • 開設した特設サイトと特命農業部員会員証

  • プロジェクト概要図