瀬戸内海地域振興助成成果報告アーカイブ

空き家と耕作放棄地の利活用を通じた地域づくり

くにとうの御船を守る会

活動の目的

国頭地区に増えた空き家と耕作放棄地の解消に、地域固有の景観・町並み等の環境資源を活かしながら取り組むことで、地域の賑わいを維持向上させ、将来的に地域住民が一体となって、より良い暮らしのために行動できる地域を目指す。今事業では、空き家対策として、景観を保全しつつ空き家の利活用を行う、空き家を再生させた集いの場「ちょっと寄ってぇ家」の運営と、移住定住促進のための相談対応拠点・体制づくりに取り組む。また、耕作放棄地対策として、体験観光農場の開設・整備の他、国頭地区裏手の里山の荒廃の防止、保全の気運醸成と交流人口獲得のため、草の刈払いや雑木の伐採作業を通じた散策が可能な環境づくり、地域にあるトレッキングコースの維持管理などを行う。

活動の経過

空き家対策の活動として、通年で定例会議を実施し、活動内容についての計画、共有、必要な作業の確認等の実施、活動&交流拠点「ちょっと寄ってぇ家」の運営を通じた住民その他来訪者との交流、相談対応に取り組んだ。10月には空き家を再生させた住民集いの場を運営する、新潟市の「実家の茶の間紫竹」と、その協働相手である「新潟市地域包括ケア推進課」を視察し、その効果やノウハウ、行政との協働の仕方について学び、11月に視察成果報告会を実施した。視察時の学びを活かすため、地元事業者を講師に「ちょっと寄ってぇ家」をDIYで改修し、マルシェや展示などもできる、集いやすく明るく快適な空間づくりに取り組んだ。
里山保全の活動としては、耕作放棄地解消作業、体験観光農場の管理(除草、水やり、定植等)をメンバー他協力者と適宜実施した他、地区裏手里山・トレッキングコースの通路整備に係る除草除伐作業に地元青年団等と連携しながら取り組んだ。体験観光農場を活かした交流として、寄島小学校、寄島中学校の地域学習での利用や授業運営支援依頼などがあり、複数学年の支援を行った他、地区の子どもたちなどを対象に収穫体験を実施した。
それらの活動の様子を適宜FacebookやInstagramなどで紹介した他、2月には活動報告会を開催し地域内外に報告した。3月には次年度の活動計画を策定した。

活動の成果

空き家対策の成果としては以下が挙げられる。
●視察の成果を反映し「ちょっと寄ってぇ家」の交流拠点としての整備を進め、使い勝手、快適性、省エネ性能、認知が向上したことで、維持管理コストの減少、利用者の増加、使われ方の多様化といった効果があった。また、改修に係る作業をメンバーによるDIYで実施したことで、空家利活用のノウハウを習得した。
●空家の相談対応件数が増加した(1、2件→4件)。また別事業での、空き家を再生させたお試し暮らし住宅整備の取組で入居者があるなど、移住に関する相談も増え(0→2件)、関係者への相談を通じた体制作りが進んだ。

里山保全の成果としては以下が挙げられる。
●耕作放棄地を体験観光農場として再生したことで、景観の向上と、産品販売の収益を得ることができた。
●体験観光農場での交流の実践、トレッキングコースの利便性や認知の向上を通じ、多くの利用者・来訪者があった(体験観光農場は80名程度、トレッキングコースは1,000名程度)。小中学校の利用もあり、学校の授業運営の支援・連携にも繋がった。
●増加した来訪者に対して、地域ぐるみでの道案内等が行われるようになったことで、交流人口拡大の主体形成に繋がった。
両活動の様子はメディアに複数回取材・報道されたことで、認知が向上し、地元住民から手作りバッグの寄付(「ちょっと寄ってぇ家」での販売益を寄付)を受けることができた。その他「あしたのまち・くらしづくり活動賞」の振興奨励賞を受賞することができた。

活動の課題

空き家対策活動、里山保全活動ともに体制整備を具体的に進めることができた。行政や自治組織との連携はあるが、住民有志による非営利の活動であるため、無理なく合理的に成果を出しながら、活動を継続していくことを重要視したい。そのための課題は以下と考えている。
●資金調達、人材確保、活動コストの低減
●適切な事業規模・目標の設定
●利活用できる空き家の掘り起こし
そして、芽が出つつある、定住人口増加に繋げていきたい。

  • 新潟市「実家の茶の間 紫竹」の視察

  • 空き家DIY 改修ワークショップ風景

  • 里山保全作業 体験観光農園 整備の様子