- ホーム
- 助成活動について
- 瀬戸内海地域振興助成
- 成果報告アーカイブ
- 塩屋布団太鼓の次代を担う乗り子の育成と継承
瀬戸内海地域振興助成成果報告アーカイブ
活動の目的
神戸市垂水区塩屋地域は、瀬戸内海、淡路島、明石海峡大橋を望む風光明媚な所だ。塩屋青年会は地域の郷土芸能である布団太鼓・獅子舞を受け継ぐ団体である。時代の変遷とともに生活様式が大きく変化し、後継者不足が深刻化するなど各地のお祭りが衰退するなか、町の核となる布団太鼓が平成20年に約半世紀ぶりに復活した。布団太鼓の復活により、地域とのつながりが希薄化した町でお祭りを通じて、多世代交流促進に努めると共に、地域の皆様に元気と勇気を届け地域の発展活性と伝統を後世に伝承する活動を行っていく。また伝統文化の保護振興への貢献として、布団太鼓・獅子舞を通じ地域の子どもたちに郷土芸能に触れて学ぶ機会を与える取り組みを行っていく。
活動の経過
2021年度の活動として、乗り子の安全面の環境づくり、乗り子から担き手へと各世代の役割が継承出来る組織作り、WITHコロナの視点で布団太鼓巡行に向けてどう活動すべきかを地域関係団体を巻き込み、自治体の感染予防ガイドラインを用いての開催検討を行った。
4月の緊急事態宣言、9月末迄のまん延防止等重点措置の発令により予定していた、5月、7月の獅子舞公演、10月の秋祭り布団太鼓巡行は中止となった。
結果としては2021年度の予定していた獅子舞公演や太鼓巡行は実施出来なかったが、来年以降の活動も踏まえて、塩屋地域在住の子どもちたに、一人でも多く参加してもらうため、各小学校への広報活動(獅子舞公演・郷土芸能の課外授業)をはじめ、垂水区役所まちづくり課郷土芸能保存会を中心に地域関係団体に改めて深いご理解をいただき、布団太鼓継承につながる活動を行った。
改めて布団太鼓・獅子舞が復活してからの13年間の活動を振り返り、布団太鼓・獅子舞を継承して行くうえでの気づきや新たな発見や改善を行った。
活動の成果
活動の中で下記の課題を解決して成果に繋げることができた。
課題1 布団太鼓櫓内のスペース確保による乗り子の安全確保。13年前に譲り受けた布団太鼓は一回り小さい太鼓であり、その櫓を基に改修を行ったため構造上、櫓の四本柱間が大変狭く乗り子が座って太鼓を叩くには空間が狭くて、叩き辛く不安定な姿勢で行っている。
成果1 乗り子が安定した姿勢で叩けるための四本柱を拡張して空間の確保を行った。櫓の構造上安易に四本柱を拡張する事は困難であった。彫物などの装飾品の位置が変わることで屋台全体の意匠にも影響を及ぼす可能性があったが、他地区の布団太鼓の構造や意匠などを研究、対応して頂いた宮大工と何度もすり合わせを行い実現する事が出来た。広がった櫓内で実際に乗り子たちに太鼓を叩いてもらい「安定した姿勢で太鼓を力強く叩けた」「座って安心して太鼓を叩ける」「広くなったので太鼓のバチが柱に当たらなくなった」などの感想を聞く事が出来た。
課題2 櫓内の空間が狭い問題により乗り子は小学校高学年までの年齢制限を設けていた。それにより中学生が活躍できる場が無くなり担き手として活躍できる高校生までの間、布団太鼓への関わりが無くなり担き手の育成や伝承に影響を及ぼしていた。
成果2 櫓内が広がった事で中学生まで乗り子として参加できる環境を整えた。昨年まで乗り子をしていた中学生が乗り込み問題なく太鼓を叩く事はできた。
課題3 二年続けて布団太鼓巡行が中止になった事で、地域の子どもたちに布団太鼓の魅力をどう伝えて活動するのか。
成果3 垂水区の郷土芸能保存会のご協力で以前発刊した「垂水の布団太鼓」を更新、地域の小学校、中学校の各学級と幼稚園や児童館に冊子を配布した。「初めて布団太鼓を知った」「太鼓を叩きたい」「乗り子の半纏を着たい」などの声を直接聞く事が出来た。
活動の課題
課題として、ハード面では中学生まで乗り子として参加できる環境を整える事ができたが、ソフト面では乗り子の育成や担き手への継承は、成果として現れるまでは最低3年は必要であるため継続的に育成と継承の活動を行っていく。
展望として、本年度獅子舞の獅子頭の新調を行った。ここ数年布団太鼓の活動が中心であったが同じ地域の伝統芸能の一つである獅子舞の活動にも次世代への継承を行い布団太鼓と両輪で活動を強化していく。
太鼓蔵での展示と修繕のお披露目
冊子「垂水の布団太鼓」を小学校に配布