瀬戸内海地域振興助成成果報告アーカイブ

飛島の空き家対策推進のための島民と官民連携空き家マップ作り

飛島ガーディアンプロジェクト

活動の目的

高齢化率約90%以上、実質居住人口約40名の笠岡諸島飛島では空き家が増え、老朽化も進んでいるにもかかわらず島民や島出身者の空き家に対する興味は薄い。高齢の島民にとっては「自分たちには関係のないこと」のようだ。2020年度には崩れた空き家もあった。人口が急速に減り、島民の高齢化も進む中で、島民と一緒に空き家について考え、空き家対策を進める第一歩となるように調査を行った。笠岡市役所の担当課とも連携して調査を行い、調査の結果が目で見てわかるようにマップにした。空き家を放っておくことの危険性を周知し、島民と協力しながら空き家の未来を考えるきっかけとなることを目的とする。この先、空き家を活用するという道が少しでも拓ければ良いと思い踏み出した。

活動の経過

●笠岡市都市計画課との打ち合わせ
空き家調査の進め方や危険家屋判定の付け方や資料作成の方法を教えてもらった。
●島民の集会で報告、話し合い
最初は、反対意見が多かったが、実際に笠岡市の方と動くことで協力的な意見も出てくるようになった。
●空き家活用を行った先進地区への視察
浅口市寄島町・金光町/井原市野上町
すでに空き家を活用している地域へ伺った。それまでのストーリーや方法を聞くことができた。
●空き家調査(危険家屋判定)
始めは、笠岡市の方と一緒に行い、判定ができるようになるまで確認してもらった。危険な区域も多かったのでドローンを飛ばし上から確認したり、写真をとったりした。夏から冬にかけて少しずつ調査を進めた。(大飛島・小飛島)
●聞き取り調査
空き家の情報(持ち主、連絡先、連絡が取れる現在居住している人、空き家の状況など)の聞き取りを行った。集落ごとに回り、一通り聞ける情報は残した。(大飛島)
●空き家マップ作り
家の数、空き家(居住可能家屋/簡易危険度判定済み家屋/詳細な危険度判定にて危険度が高い家屋)で色分けした。
●島民へのお披露目
空き家マップをお披露目した。いつでも、見える場所(飛島研修所)にて掲示している。

活動の成果

飛島の空き家に関する事業を初めて行ってみて、良かったこと
●笠岡市との連携ができたこと
自分たちの判断だけでは、専門的な調査は行えなかった。教えてもらいながら、進めることで島民も少し安心して任せてもらえたと感じる。また、笠岡市全体でも、2021年度は空き家調査を行うとのことで、我々の活動を通して笠岡市に想いが届いたのかもしれない。島外への意識の影響は予想していなかったが、島外の方の協力的な意思を感じられた。2022年度も空き家に関することは続けていくので、笠岡市が協力してくれる場面もありそうだ。

●島民の中で協力的な意見が増えたこと
調査を進めていくと、批判的な意見もあったが「あそこの家使ってもいいよ。」や「この空き家の持ち主が使ってくれって言っていたぞ。」という声を2件いただいた。将来的には若者や島外の人が使える空き家を一軒でも見つけられたら良いなと思っていたが、実際フィールド調査や集会での報告をすると、島民から歩み寄ってくれたのが一番の成果だ。島外に住む、島出身の方の中には、自分たちはなかなか島へ帰ることができないが、ご子息のために本当は管理したい気持ちや、遠い将来島で生活する意思があるという青年団の方の声も届くようになった。

●島民と未来の話ができるようになった
空き家事業を進めていると、空き家だけでなく未来の福祉や買い物など日常の困り事が少しだけ具体的になってきた島民も増えたように感じた。空き家に関する動きをしていると、「これからも飛島に通う意思」や「島のことを真剣に考えていること」がより一層伝わって、未来の不安や相談をされるようになった。

活動の課題

2021年度は、見えない成果(空き家に対する興味や意識の向上)のためのアクションだった。その意味では、成功だった。今後は、出てきた意見に対する計画・動きを具体的にして、実行していく。聞き取り調査は小飛島や島外在住の方へまだできていないので行う。使っても良いという空き家に関しては、持ち主や家族と慎重な相談を行い、できることを提案する。例えば、定期的に窓を開けて換気する役割・草刈りの役割を担う。空き家の片付けをみんなで行う。改修の計画や間借りの交渉、活用の仕方を島民と相談するなど、日常の中で島民と一緒に考え、進めていく。協力者や実行者を増やすのも同時に必要だ。

  • 笠岡市担当課と空き家調査(危険度判定)

  • 浅口市金光町大谷地区を視察

  • 完成した空き家マップを島民にお披露目