- ホーム
- 助成活動について
- 瀬戸内海地域振興助成
- 成果報告アーカイブ
- 【犬島パフォーミングアーツ助成】ANTIBODIES Collectiveエントロピーの楽園 犬島公演
瀬戸内海地域振興助成成果報告アーカイブ
活動の目的
犬島を舞台に、島民の方との協働を基本とし、パフォーマンスアートとしての実験精神を持ちつつ、歴史、風土、環境、生活などを学び、そこから発展させ、犬島でしかできない総合芸術の創作―発表を行う。
活動の経過
【活動の内容】
島全体を舞台と見立て、エントロピーというキーワードより熱量をテーマとした総合的な舞台芸術作品へと導き、島内のあらゆる地点に、風、岩、海、虫などの自然物や、島の廃屋や廃材を利用したインスタレーションやパフォーマンスを配置。観客は、マップや指示書などに誘発され自発的に回遊し、様々な体験をする。終演後には、岡山近郊で活動する食文化のクリエイター、パフォーマー、ミュージシャンたちとのコラボレーションによる「村」が海辺に出現し、様々な催しを繰り広げながら、地域コミュニケーションの可能性を広げることを試みた。
実施場所:岡山県岡山市東区犬島全体
【参加作家】
参加メンバー106名
コンセプト・構成・音楽 : カジワラトシオ
振付・出演 : 東野祥子
空間演出・美術・装置 : OLEO
特殊効果・美術 : 関口大和
ドラマトゥルグ : 石橋源士
即興演奏: YPY、JON(犬)、MEGANE、和田晋侍、夏の大△、置石、吉田ヤスシ
身体パフォーマンス : ケンジル・ビエン、吉川千恵、加藤律、矢島みなみ、ミナミリョウヘイ、田路紅瑠美、尾身美苗、斉藤成美、もっしゅ、松木萌、菊池航、石井則仁、山本泰輔、松原東洋、小川摩希子、川瀬亜衣、木下志穂、島民のみなさん ほか
テクニカルマネジメント : ヤノタカオ
美術・テクニカル : 西村立志、倉持裕二、Moriken、Wacky、ifax!、ハオニロ、上野雄次、Life Style Design、鉄製、柏木寛子、ほか
衣装 : HE?XION!、西岡七歩子音響 : 佐藤孔治(Slim Chance Audio)、HAMASTAR
音響アシスタント: AKAGASHI
照明 : 藤本隆行(Kinsei R&D)
照明アシスタント: 粟津一郎
宣伝美術 : 濱大二郎
【他機関との連携状況】
犬島町内会、婦人会、犬島自然の家など地域住民に非常に協力的に関わって頂いた。東区朝日小学校アウトリーチでは、校長先生ならびに担当先生方にご尽力いただいた。福武財団ほか、日本文化芸術振興会、セゾン文化財団より助成を受けた。
活動の成果
地域の活性化を目的として、島民の方から学んだことや歴史などを盛り込み、出前公演ではなく、この島でしか成立し得ない作品に仕上げ、島全体が共鳴するような作品となった。アーティストコレクティブとして、各自が社会と向き合い、それぞれが自身のノウハウを持ち寄り、「島」の環境においてフリーエネルギーの可能性から食文化に至るまで様々な角度から探求し、実践。結果的には多くの学びがある効果的な作品制作ができ、観客からも大きな反響を得ることができた。
活動の課題
【活動の独自性】
物事の変化に関する最も重要な概念である「エントロピー」をキーワードに掲げ、環境風土、歴史、生活文化と向き合い、互いに鍛錬し交差しつつ、難解と思われる問題の底に隠された本質的な単純さを見つめながら、人間精神の解放を目指す新しい社会への洞察を深め、体験型の実験的状況を展開した。また、犬島音頭の演奏や踊りを習うなど、島民の方々とさまざまな局面で協働することができ、犬島音頭をリメイクしたエンディングは作品の中で重要なシーンとなった。
【総括】
2年にわたり犬島を訪れ、四季を感じ、さまざまなものに感動し、歴史や歌、踊り、暮らし方など島民の方より多くの学びがあった。火、水、海、風、竹、廃材などを積極的に活用し、犬島でしかなし得ない雄大な自然の力や時間性を感じる大掛かりでスケールの大きい作品となった。多くのメンバーが長期的で地道な活動(草刈り、枝落とし、ストレッチ、島の祭に参加など)を行ったことで、島内での協力体制が確立でき、多数のインスタレーション会場をお借りし、パフォーマンス公演が成功したと感じている。また、当初の想定の1.5倍の100名を超えるメンバーが公演に関わったことも団体としては初めてのことで、その人数で1つのテーマに基づいて犬島で作品を制作できたことは、演出する側としても成長が感じられた。今後とも継続的に犬島にて公演を実施できるように、築き上げた関係性を大事にしていきたいと思っている。公演後の観客のSNSの反響により、公演の模様が国内外にまで拡散し、犬島ならびに瀬戸内の魅力を、私たちの目線ではあるが昇華し、伝えられたのではないかと思う。
精錬所美術館敷地内の発電所にて、テスラコイルを創作、設置し、演目中に放電する。「エントロピーの楽園」というコンセプトに基づいた発電パフォーマンスを行った。
数カ所の埋もれていた場所を開墾し、草刈り、整備し、上演出来る環境に仕上げた。そこでしかなし得ないパフォーマンスを実施。
犬島音頭をリメイクし、生演奏で盆踊りを行った。観客も一体となり最期の大団円を迎えた。