アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

OAM オープンエアーミュージアム

光明寺會舘

実施期間
2014年4月~2015年3月

活動の目的

地域住民と協働で空き家再生や国内外の美術家招聘プログラムを展開してきた光明寺會舘を中心に、尾道旧市街独自の風景である斜面地(山手地区)に点在する地域の宝(人材、スタジオ、店舗、空家)を美術館の機能として再定義し、エリア一帯にOAM(オープンエアーミュージアム)を設置する。OAMは変容を続ける動的構造を持ち、また教育や研究プログラムも並行して実施していくことで、これまでの活動の振り返りと将来展望に役立てる。

活動の内容

□これまで美術家招聘事業AIR Onomichiで地域に蓄積した作品コレクションを整備しツアー形式で公開。
□国内外の美術家を招聘。創作支援を行い、負の地域資源の可能性を独自の方法で発掘。ワークショップやレクチャーなどを通じ、人材育成を進める。
□他団体とも連携しながら、幅広い専門家を招き、光明寺會舘学校プログラムの一層の充実を図る。
□AIR zine編集室では地域に潜在する環境的・人的資源をリサーチし、編集作業を通じ、明確化して発信する。
□本の家に美術家のコミッションワークとしてユニークな書架を設置。独自の方法で資料収集を開始。
実施場所: 広島県尾道市光明寺會舘、なかた美術館、尾道旧市街斜面地、尾道市商店街とその周辺等
実施期間: OAM|2014年9月~10月下旬
光明寺會舘プログラム|通年

参加作家、参加人数

□参加作家/〈AIR Onomichi〉岩間賢、横谷奈歩、シュシ・スライマン、〈Short Stay Program〉村上大樹、Hochoul Lee、矢野ミチル、月夜と少年、〈本の家〉杉井隼人〈講師〉
Thomas&Renee Rapedius、平野千枝子、阿部純、村田達彦、Shaun Sterling、市原研太郎、小野環、三上清仁
□参加人数/439人(各プログラム参加者、来場者総数)

他機関との連携

□ART BASE 百島と共同でサマースクールを開催
□遊工房のレクチャー
□山陽日日新聞紙面でプロジェクト展開
□尾道市立大学の研究活動との連携
□NPO法人尾道空き家再生プロジェクトのリノベーションの技術協力

活動の効果

美術家の活動によりこれまでデッドスペースと化していた空き家や廃墟に新たな活動のプラットフォームが形作られた。また学生を中心にアーティストのサポート体制が組まれた。さらに、近隣住人の活動への協力が生まれている。関係他団体との有機的な連携が深まったほか、ローカル新聞紙面を用いてのプロジェクトが生まれるなど活動の場が独自の広がりを見せた。アーカイブに関する考察も光明寺會舘学校を通じて進行している。

活動の独自性

尾道旧市街在住の美術家によるディレクションが成されているので、場に関する詳細な情報を集約し、地域コミュニティーとのネットワークを踏まえた運営が可能となっている。美術家の滞在制作を単年度でなく、作家の創作の必要性に応じ、複数年度のプロジェクトへと展開しているのも本企画の特長である。また、企画のイベント化より、深化・熟考を重視し、創作支援や学びの機会の充実を図っている。増加する地域アートに対する考察やアーカイブに対するアプローチなどもレクチャーや読書会によって検証している。本年度は特に、NPOや近隣アートプロジェクトとの連携によって、プログラム内容に厚みが生まれた。

総括

作家の滞在制作事業が複数年度のプロジェクトに展開。民家の大掛かりなリノベーション(岩間賢)。廃墟の入念なアーカイブ化と再構築(シュシ・スライマン)。空き家の記憶と住人を巡るリサーチ(横谷奈歩)など、3作家の活動はそれぞれ独立したプロジェクトへと自立してきている。一過性のイベントや町おこし的活動ではなく、アーティスト主導のプロジェクトによって現在の問題点を考察し、場に潜在している可能性を建築、文化人類学、歴史研究でもない作家独自の視点・手法で探索し始めている。また、活動展開の中、関連諸団体との連携も深まり、活動に多彩さが増した。それは光明寺會舘学校のレクチャーの充実にも現れている。AIRzine編集室も読書会やミーティングを重ね、昨年は第3号のZINEを発行。課題としては、この活動の生成現場をいかに記述・記録しうるのかというアーカイブやドキュメンテーションの問題と2009年に立ち上げた光明寺會舘の箱自体に関して活動内容の変化に伴う見直しが残されている。しかし、本の家の機能の充実が図れるなど、次年度以降の活動に繋いでいく布石が打て、具体的な見通しが立った状態でそれぞれのプロジェクトは年度を終えた。