アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド2014巨大人形制作事業

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド実行委員会

実施期間
2014年8月5日~24日

活動の目的

南砺市の地域環境に合わせたオリジナル巨大人形を市民とともに製作することによって、巨大人形を使ったパフォーマンスをフェスティバルの新しい“顔”として広めていく。世界各地のさまざまな美術文化との出合いや交流の場をつくり、国際社会における共生のための相互理解を深め、地域に根ざした新たな文化の創造を目指す。

活動の内容

8月からモザンビークよりアーティストを3名招聘し、製作サポートスタッフとともに作品製作にとりかかった。約2週間にわたるワークショップを開催し、足りない材料や製作方法の代案などは、受講生やスタッフが講師と模索しながら巨大人形2体を完成させた。公開で行った長期型ワークショップには地元市民の方も多数見学に訪れ、フェスティバル前から地元の期待が高まっていた。期間中にはブラジル打楽器の市民楽団とともにパレード及びステージなど多くの発表の場に出演。スキヤキ来場者対象無料ワークショップも注目を集めた。会場全体を盛り上げ、多くのメディアで取り上げられるなどフェスティバルの目玉として高く評価された。
実施場所:富山県南砺市

参加作家、参加人数

モザンビーク巨大人形隊3名が参加。製作サポートとして県内アーティスト、富山大学生が参加。市内外からのワークショップ参加者も集まり、製作に携わった。公開ワークショップに市民から多くの見学もあった。フェスティバル期間中には11,000人が来場し、巨大人形によるパフォーマンスに注目が集まった。

他機関との連携

南砺市、モザンビーク大使館、在モザンビーク日本大使館、モザンビークAZGOフェスティバル、マプト市仏モザンビーク文化会館

活動の効果

巨大人形製作ノウハウを学び、美術文化との出合いを通して、地元の伝統行事「夜高祭」への出演を望む声が聞かれたり、地元団体との交流が決まるなど市民が地域芸術の文化を再発見、再認識するきっかけとなった。また、今回製作に携わった県内の作家、アーティスト、スタッフの交流が活発になり、次回作への製作が早くも提案されるなど積極的な参加が期待され、数年かけて体数を増やし、活動の範囲を広げ、効果を継続させたい。

活動の独自性

この事業のきっかけとなったモザンビークのアズゴフェスティバルとは、2012年からスキヤキとのネットワーク連携を開始。内戦後の首都マプトの活性化を目標に、若手アーティストによって結成された人形隊が、身近な人々の日常や生活を描いたキャラクターで社会的、経済的な平等や自由のメッセージを伝えようとする手段にヒントを得て、スキヤキでもモザンビーク巨大人形の製作ノウハウを学び、オリジナル人形を完成させただけでなく、フェスティバルから誕生した市民楽団とともに音楽に合わせて人形を操るパフォーマンスを創造し、音楽と美術の融合によって地域環境に合わせた新たな文化を生み出そうとしている。

総括

このプロジェクトは2012年から構想を始め、事業に取りかかるまでに現地訪問を含む多くの打ち合わせを重ねて準備を進めてきた。モザンビークでは廃材を利用して製作される巨大人形だが、実際に日本での製作を始めると、同じような材質の材料が見つからなかったり、同じものを使用してもうまくいかなかったりと材料集めや気候の違いによる対応に苦労し、用意できるもので少しずつ改良しながらの製作となった。骨組みや衣装なども意見を出し合いながら製作し、最終的には4mを越えるオリジナル巨大人形が完成。さらに音楽に合わせたパフォーマンスも習得した。講師、製作に携わったスタッフ、そして一緒にパフォーマンスを作り上げた市民楽団メンバーがお互いに刺激を受け、交流を行うことができた。フェス期間中は会場のあちこちで毎日出演し多くの来場者を盛り上げた。特にパレードに来場した地元の幅広い年齢層の方々からは高い関心を示され、地元メディアにも大きく取り上げられるなどスキヤキ2014の“顔”として活躍した。
この経験とノウハウを活かし、これからも継続して活動していける地域に根付いた団体と人材の育成を目指す。今後は世界各地の人形製作ノウハウを収集し、地域文化を取り入れたスキヤキ発のオリジナル人形文化を発信していきたい。