アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

吉原芸術大サービス~春一番~

吉原芸術大サービス実行委員会

実施期間
2014年4月5日・6日

活動の目的

複雑な歴史と文化を持つ土地である吉原で土地の人とアーティストが交流・協働し、土地の歴史的・文化的な資源を活用した表現活動を行う。

活動の内容

本企画は、荒廃していた地元の吉原弁財天の壁画制作を依頼されたことにより、若手アーティストとまちがかかわるきっかけとなった。今回もその吉原弁財天などまちなかの会場9カ所にてパフォーマンス・展示を行った。落語や小唄などの伝統芸能を取り入れることで、まちのさまざまな層を観客として巻き込んだ。また、準備段階からまちのイベントへの参加やまちのひとを「吉原芸術大サービス」の準備に巻き込むなどの動きもあった。
実施場所: 東京都台東区千束3丁目・4丁目(吉原神社、吉原弁財天、吉原会館ほか)

参加作家、参加人数

fifi×アリアンヌ・デュテール、山山山(さんざん)、武谷大介、aokid、中銀河、吉原狐社中、芝崎るみ、切腹ピストルズ、宮澤やすみ、西川壱花・西川壱弥、津田翔平、村上慧、暮らしの中村、熊倉凉子、柳亭小痴楽、東山佳永、TENUSISTM、阿部圭佑

他機関との連携

地元町内会、地元青年部との協力体制が初年度よりも強化された。また、同じく吉原で活動する文化団体(吉原狐社中)との密な関係ができた。

活動の効果

吉原弁財天の壁画制作(2011年)から4年の月日が流れ、「吉原芸術大サービス」も2回目となった今回は、まちのなかで少しずつ若手芸術家たちの存在感や彼らへの期待が顕著になってきた。
そのなかで、地元青年部や吉原狐社中との相互に刺激し合う関係が生まれた。参加する若手芸術家たちもその関係性のなかで表現に挑み続けている。

活動の独自性

長い歴史を持ち、いまも現存しているソープランド街の吉原は複雑な背景がある土地である。そのなかで、まちの有志とアーティストの個人的なやりとりのなかで生まれたプライベートなつながりがまちを巻き込み、小さなまちのなかで公共的かつ現代的な祭りへと発展を遂げつつある。

総括

若手アーティストと吉原のまちの人との個人的なつながりから、まちの祭りへと発展を遂げつつある本企画は、さまざまな軋轢や複雑な地域の状況がありながらも、それを飄々とかわしつつ真摯に向き合うアーティストとその活動に賛同するまちの協力者によって成立している。アーティストと吉原のまちの人びとは、社会における周縁性という共通点を持ち、協働している。大きな目標は掲げず、双方が希求する表現を、その都度まちのなかに提示し続けるのが「吉原芸術大サービス」である。