アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

プロジェクトFUKUSHIMA!

特定非営利活動法人 プロジェクトFUKUSHIMA

実施期間
2014年8月13日~15日

活動の目的

福島の問題は決して局地的なものではなく、世界の人々と共有すべきとの考えから、福島から発信する芸術文化を通して、国内外各地の人々と共に今のFUKUSHIMAの現実を見つめ、未来を考える場を作る。震災から3年を経て、時間とともに多様化する問題と継続的に向き合いながら、福島から生まれる文化が、希望を持って生きていく原動力となることを目指す。

活動の内容

8月15日「フェスティバルFUKUSHIMA!2014納涼!盆踊り」を開催した。プロジェクトFUKUSHIMA!を象徴するカラフルな「大風呂敷」を広げた会場で、大友良英スペシャルビッグバンドの生演奏によるオリジナルの「盆踊り」を中心に、放射線の影響による避難指示地域、川俣町山木屋地区に伝わる「山木屋太鼓」のパフォーマンスや、プロ/アマ混在のオーケストラFUKUSHIMA!の演奏などを行った。この模様はインターネット放送「DOMMUNE FUKUSHIMA」でも生中継された。
フェスティバルに先立ち、8月13日オーケストラワークショップ(中高生対象)、8月14日同(一般対象)を行った。
また、今年度は札幌国際芸術祭、岐阜県多治見市、フェスティバル/トーキョー(東京都池袋)にも招待され盆踊りを開催した。
実施場所:福島県福島市

参加作家、参加人数

参加アーティスト/大友良英・和合亮一・遠藤ミチロウ・長見順・岡地曙裕・大友良英スペシャルビッグバンド・二階堂和美・珍しいキノコ舞踊団・山木屋太鼓・オーケストラFUKUSHIMA!
参加人数/オーケストラワークショップ参加者(中高生含む)100名、フェスティバル参加者 県内外からの一般市民老若男女5,000名

他機関との連携

後援/福島県・福島県教育委員会・福島市・福島市教育員会・福島商工会議所・地元商店街(テント、イスなどの無料貸与、移動販売車など) 他
協力/三陽商会・サンヨーインダストリー(のぼり旗生地の提供、制作) 他

活動の効果

地元福島の方を中心に昨年以上に幅の広い年代の方々に来場いただき盆踊りを楽しんでいただいた。特に今年は、中高生の姿が多く見られた。これは中高生を対象にしたワークショップの成果と思われる。また、昨年より2回目の盆踊りだが、今年招聘された地域でもその地域ならではの盆踊り曲が誕生し、盆踊りを通しての交流が深まった。他にも全国各地の方々に興味を持っていただいており、確実に福島からの盆踊りの輪が広がりつつある。

活動の独自性

フェスティバルFUKUSHIMA!盆踊りの独自性は、地元の方々をはじめ、プロ/アマ問わず多くの方々の手作りにより開催されるということにある。今や、プロジェクトFUKUSHIMA!の象徴の一つである「大風呂敷」をはじめ、「ヤグラ」とその装飾品、そして風呂敷から仕立て直された「浴衣」などで彩られた会場も多くのボランティアスタッフにより作り上げられる。「盆踊り」もオリジナルの曲であり、その演奏は、プロのミュージシャンと一般市民が一緒に行うなど、踊りのほか会場づくり、演奏全てに参加できるという特徴を持つ。今年はさらに「名入りのぼり旗」(手作りパッチワーク風旗に大友良英直筆名入りによりご寄付をいただく)で当日会場にお越しいただけない方の参加も可能となった。

総括

震災後の5月、福島で生まれ育った者を中心に、ゆかりある表現者たちによって立ち上げられたプロジェクトFUKUSHIMA!は、活動から4年になろうとしている。無料のフェスティバルを毎年開催するなどの活動を通してプロジェクト理念の発信を続けることで、賛同・共感の声が少しずつ大きくなっていることを実感している。地元への認知度も高まり、今年度は中高生をはじめ若い世代の方々の参加が増えた。将来にわたり継続的に活動していくためには若い力が必要であり、今後も呼びかけていくことが必要である。放射線値が高く計画的避難区域となった「福島県川俣町山木屋地区」の若者たちで組織されている「山木屋太鼓」の参加が得られたことも、大きな成果であった。今後も無料のイベントを続けていくためには、資金繰りが重要であり、試みとして「のぼり旗協賛」を行った。パッチワーク風に作られた旗に大友良英が直筆で協賛者の名入れを行うというもので、こちらも多くの賛同をいただいた。今後も試行錯誤を繰り返しながら、プロジェクト理念に基づいた活動を継続し、福島から文化を発信することで、外とのつながりを持ち、希望ある福島の未来を考えて、再生につなげていきたいと考える。