アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

札幌国際芸術祭 地域プロジェクト

北海道地域連動アートプロジェクト実行委員会

実施期間
2014年7月19日~10月13日

活動の目的

札幌国際芸術祭と協力体制をとり、テーマである「都市と自然」に焦点をあて、札幌市のみにとどまらず、北海道と札幌の地域創造活動を広域的に連携する事業として中期的に活動を続けることを目的とする。

活動の内容

エネルギーとアート、地域とアートなど、現代の暮らし方をアートの視点から見つめ直し、新たな生き方と創造活動を考えるプロジェクト。北海道の地域性に着目し、地域の先進的な農業活動、循環型社会活動をリサーチし紹介する「TPPミュージアム(札幌の都市農業について考える)」や、日本の高度成長期にエネルギーの柱となった旧産炭地域の「そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト」。そして、北海道開拓時に遊郭が建てられた“すすきの”地区での「すすきの夜のトリエンナーレ」を開催。
実施場所: 札幌市資料館、札幌市すすきの地区、そらち旧産炭地域

参加作家、参加人数

すすきの夜のトリエンナーレ(作家9名、7日間来場者700人ほど)、 そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト(作家22名、19日間4300人)、 札幌の都市農業について考える(作家4名、3ヵ月間で約8万人)

他機関との連携

札幌国際芸術祭2014、すすきの観光協会

活動の効果

札幌国際芸術祭と協力体制をとり、札幌市としての実施が難しい北海道周辺地域のアートプロジェクトや民間活動でのアートプロジェクトを協働体制で連動させたことで、アートを通じ都市と地域を結びつつ地域特性や歴史を浮かび上がらせることができた。国際芸術祭における多様な可能性を示唆できたと考える。

活動の独自性

日本の近代化をエネルギーで貢献した空知地区での炭鉱跡地、都市形成における裏舞台での原動力となったすすきの、食料自給率約200%を誇る農業王国北海道からTPPを考えた札幌市資料館でのアートイベント、この三つの地域で北海道独自の地域特性や歴史をアート通じて再考し、これからの生き方・暮らし方を提案した。

総括

北海道独自の地域特性や歴史をアートを通じて紹介することは、近代以降の日本における都市のあり方や人の生き方を再考することに繋がると考えた。歴史をひもとけば、とりわけ北海道の縄文時代は5000年と長く続き、彼らは自然をコントロールすることなく狩猟採集の生活を営んだ。彼らの自然に対する畏敬の念や自然との共生は、環境汚染やエネルギーなどの問題を招いた現代人が一番学ぶべき文化である。アートを通じ今回の空知炭鉱跡地、すすきの、札幌市資料館(TPP)からの発信は、社会へよい意味でのハレーションを起こしたと考える。