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- マチトソラ芸術祭2015 にし阿波の古民家を活用したアートフェスティバル
アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ
活動の目的
徳島県三好市には、マチと呼ばれる四国の交通の要所で栄えた阿波池田と、ソラと呼ばれる祖谷、大歩危、小歩危のある山間部がある。伝統的な建築様式も生活様式も違う地域を舞台に古民家を利用した現代美術の芸術祭を行う。今ある地域資源の再編集により、地域の価値の再発見と魅力発信、交流人口の増加を目的とする。
活動の内容
アーティスト・イン・レジデンスを芸術祭の目玉として、三好市内の既存のイベント(阿波踊り、うだつマルシェ、妖怪祭り)にあわせて、各イベントの主催団体と協働し、開催した。
三好市池田町うだつの町並み・東祖谷落合集落の古民家、池田町出合地区の廃校をリノベーションしたカフェに作品を展示し、現代アートと歴史ある建物との融合を図った。
会期中にアートツアーを開催し、各会場をバスで移動、アーティスト本人から作品について説明を行う機会を設けた。
落合集落で滞在制作したアーティスト「くうのき」が、地域の景色とそこに住んでいるおばあさんをモデルに作品を制作。東祖谷小学校にて地元の小学生を対象としたワークショップも行った。
実施場所:徳島県三好市池田地区(うだつのある街並み)・出合小学校(廃校をリノベーションしたカフェ)・東祖谷落合集落(重要伝統的建造物群)・山城町大歩危(妖怪村)
参加作家、参加人数
今年度のテーマを「UNCANNY」とし、20組26名のアーティストが参加。四国に縁のあるアーティストを中心に作品を展示した。特別展示としてアワガミファクトリーからの版画も展示。週末ごとにイベントを開催し、写真展とトーク&ライブ・音楽ライブ等を行った。
展示期間中の来場者数、参加者数は約1,600人。
他機関との連携
徳島県、三好市地域起こし協力隊、なこち-L i f e ShareCottage-、ハレとケデザイン舎、大歩危妖怪村、池田観光などと連携して事業を実施した。
活動の効果
地理的条件により、独自の文化発展を遂げてきた山間部の文化の魅力を広く発信し、交流人口の増加が図れた。AIRも3組招致し、アーティストの中期滞在により、地域住民との交流促進が図れた。豊富な文化資源の活用、他団体と協働することで、アーティストにとっては作品へのインスピレーションとなり、地域住民には価値の再確認、また既存のイベントの発展のアイデアにつながった。
活動の独自性
① 徳島県西部唯一のアートフェスティバルの実施であること。
② 山間部を含む珍しいアートフェスティバルであること。
③ 地域の魅力あるイベントと連携することにより、アートに関心のない人も、自然にアートに接する機会を持てるようになること。
④ 既存の団体と協働することで、住民の主体性が高まり、地域の協力体制が強化されること。
⑤ 徳島県にし阿波における若年層をターゲットとした来訪者のニーズ調査。
総括
地域の価値の再発見、魅力発信、交流人口の増加を目的として2013年から始まった本芸術祭は、今年度で3回目の開催となる。今回の収穫はアートツアーの開催であった。山間部ということもあり、交通手段が限られているため、ツアーバスは大変好評であった。地元の観光会社との新たな連携も生まれた。新会場として、廃校活用したカフェ「ハレとケデザイン舎」を使用したことにより、新たな客層を引き込むことに成功した。地元の宝である妖怪伝説をモチーフにした妖怪祭りに参加したことにより、継続して活動する意義や地域のつながりの強さ、この地域の歴史を学べ、今後の活動の参考になった。またその交流から新しく開催されるイベントに作品制作の協力をすることになり、開催の手助けをすることができた。
こういった活動を通じ、他団体との交流、情報交換により、新たな活動の場やインスピレーションを得ることができた。
今後は地域の歴史や文化を発掘し、アーティスト・イン・レジデンスをメインとし、よりいっそうの地域住民との交流を図り、新たな価値の創造や新しい可能性を作る場として継続して開催していきたい。
落合集落で滞在制作された作品(アーティスト:くうのき)
仏像を題材にした作品(アーティスト:ニシユキ)
妖怪伝説をモチーフにしたワークショップ(アーティスト:林遼児)