アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

鳥の劇場2015年度プログラム

特定非営利活動法人 鳥の劇場

実施期間
2015年4月~2016年3月

活動の目的

2015年度の鳥の劇場は、「戦後70年、設立9年目。広める、深める。〈私〉、〈今〉をこえる、想像・連帯の拠点として。」を活動テーマに掲げ、戦争を題材にした演劇作品の製作・上演を通して、観客と共にこれからの社会について考える機会を設ける。
また子どもを対象にした人材育成事業や、教育現場でのアウトリーチ活動も継続的に実施する。

活動の内容

鳥の劇場による上演
1.『天使バビロンに来たる』
原作:F.デュレンマット/構成・演出:中島諒人
5/2(土)~6(水祝)上演回数5回
2.やぎの二つの物語
『おおかみと七ひきのこやぎ』原作:グリム/構成・演出:中島諒人
『三びきのやぎのがらがらどん』北欧民話/構成・演出:中島諒人
5/30(土)・31(日)、6/6(土)・7(日)上演回数4回
3.『兵士の物語』台本原作:C.F.ラミューズ/作曲:イーゴル・ストラヴィンスキー/構成・演出:中島諒人
9/19(土)~21(月祝)上演回数3回 ※「鳥の演劇祭8」で上演
4.新倉健『音の個展Ⅱ』~西風の見たもの~
作曲:新倉健 10/23(金)・24(土)上演回数2回
5.『白雪姫』原作:グリム 構成・演出:中島諒人
①鳥取市文化ホール:1/16(土)・17(日)
②カウベルホール:2/13(土)・14(日)
③米子市淀江文化センター「さなめホール」:2/27(土)・28(日)
上演回数計7回
小鳥の学校
小学5年生~中学3年生を対象とした人材育成事業
実施期間:7/5(日)~3/27(日)※通年事業
[講座]演劇、ダンス、音楽、映画、国語、社会学など
[演劇発表公演]『宝島』原作:寺山修司 構成・演出:受講生と中島諒人 3/26(土)・27(日)上演回数2回
実施場所:鳥の劇場(鳥取県鳥取市鹿野町鹿野)ほか

参加作家、参加人数

鳥の劇場劇団員以外の主要参加アーティスト
・榊原毅(俳優)『天使バビロンに来たる』出演
・島田曜蔵(俳優/青年団)『天使バビロンに来たる』出演
・長田大史(俳優)『天使バビロンに来たる』出演
・新倉健(作曲家)『音の個展Ⅱ』参加
・渡邉芳恵(演奏家)『兵士の物語』『音の個展Ⅱ』参加
・吉川裕之(演奏家)『兵士の物語』参加
■来場者数(上記「活動内容」に記載した事業):2,894人

他機関との連携

■静岡県舞台芸術センターSPAC(静岡県)
4月に同団体主催の「ふじのくにせかい演劇祭2015」の招聘作品として『天使バビロンに来たる』を上演。また5月の鳥の劇場公演の際には、舞台装置の一部をSPACから借りて上演した。

活動の効果

・絵本や童話で親しみのある作品を上演することで、30 ~ 40代の子育て世代の来場が増えている。また、台詞が聞こえづらい高齢者や障がいのある人に向けて、手に持てる小型の字幕装置も用意している。観客の意見を積極的に取り入れながら、さまざまな客層に楽しんでもらえるプログラムを実施している。
・国内外の実演芸術家との共同製作では、作品の捉え方を理解・共有し、表現を深めるために、限られた稽古期間の中で集中して作品作りを行うことができた。

活動の独自性

・鳥の劇場では、劇団による演劇作品の創作・上演だけでなく、一年を通じて人材育成事業やアウトリーチ活動にも取り組んでいる。県内外の学校・教育関係者から依頼を受けて、今年度は130 回程のワークショップや普及型公演を実施した。
・2013 年度から、障がいのある人とない人が共に行う劇団「じゆう劇場」の活動を鳥の劇場がプロデュースしている。今年度は鳥取県内2 カ所と「奈良県障害者芸術祭 HAPPY SPOTNARA 2015-2016」で新作を上演し、観客や福祉関係者から大きな反響を得た。

総括

・戦後70 年という節目となる2015 年度は、「戦争」をテーマにした演劇作品に積極的に取り組んだ。リーディング形式の上演や演奏家との共演、また韓国の劇団との共同製作など、さまざまな角度からアプローチを試みながら、戦争やそれを取り巻く社会について、観客と共に深く考えることができた。
・鳥の劇場による上演では、国内外から俳優や演奏家を招き、演劇やコンサートなど多彩なプログラムを観客に提供することができた。
・今年度で6 回目となる「小鳥の学校」は、子どもたちが自ら考え行動できるように、学術・芸術分野の第一線で活躍する講師がさまざまな講義を行った。年度末に行った受講生による発表公演では、衣装・音楽・小道具・空間作りなどにも関わり、学びの集大成を見せることができた。
・鳥の劇場施設の改修工事が11 月から始まり、劇場が使用できない期間は県内で巡回公演を行った。それにより、「鳥の劇場」の名前は知っているが、まだ演劇作品を見たことのない観客と出会う貴重な機会となった。来年度は鳥の劇場にとって活動10 周年を迎える年となる。新しく生まれ変わった劇場へ、多くの観客に足を運んでもらえるよう、今後も精力的に活動を続けていきたい。

  • 『兵士の物語』上演の様子

  • 新倉健『音の個展Ⅱ』~西風の見たもの~

  • 『小鳥の学校』講義:からだ
    講師:山田珠実(振付家・ダンサー)