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- 第2回神戸下町おかんアート展「せめる編:豊島への遠征」と「まもる編:神戸での展覧会」の開催
アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ
活動の目的
「おかんアート」という庶民発アートの存在を通して、各地の母が地域の文化の担い手となることを目的とする。特に豊島では、芸術祭来訪者を迎える豊島の母らを創作活動の主体へと転換し、外部招聘の芸術家に加えて、瀬戸内国際芸術祭を地域住民が活躍する場として地域に密着させることを目的とする。
実施場所:神戸市兵庫区および香川県小豆郡土庄町豊島
活動の内容
2014年度は、豊島で手芸を創作する母を14名発掘した。2015年度は、豊島で一層の発掘を進め、家浦老人会の婦人と神戸のおかんにより2016年3月に第2回目の手芸交流ワークショップを開催した。そのなかで、豊島の婦人らが2016年に開催される瀬戸内国際芸術祭への来訪者をおもてなししたいという意思を持っていることを確認した。2016年は、豊島の婦人らが作品展示とおもてなし空間の提供を企画し、神戸のおかん達が後方支援することとなった。神戸では、2016年1月に「おかんアートとハンドメイド展」を開催し、おかんと老若男女のものづくりの担い手が集い、協働で企画し、展示・教室を開催することで技能交流を図った。
参加作家、参加人数
① おかんアートとハンドメイド展(2016/1/9,10)
出展者52名、スタッフ11名、来訪者650名
② 豊島おかんアートワークショップ(2016/2/27)スタッフ5名
(神戸おかんアーティストら)、参加者15名(家浦老人会の婦人ら)
他機関との連携
神戸市婦人団体協議会、NPO法人輝支援センター神戸、神戸ママネット・あじさい倶楽部
活動の効果
神戸では、おかんアートを担う高齢者に加えて、NPO法人輝支援センター神戸/神戸ママネット・あじさい倶楽部を通した出展、個人で活動する若手クリエイターの出展やスタッフ参加のように、多世代の担い手が増加し、月1回企画会議を継続し、展覧会を企画・実施することができた。豊島では、家浦老人会の婦人らが瀬戸内国際芸術祭への参画や来訪者をもてなしたいという意思を表明しており、内容を企画し始めるようになった。
活動の独自性
神戸のおかんアーティストが豊島を訪問し、2014年度に続き2015年度に手芸交流ワークショップを開催したことで、神戸と豊島の母らの交流が生まれた。その中で、神戸のおかんアート展を自ら企画するようになった経緯を共有することで、豊島の母らが瀬戸内国際芸術祭の来訪者をもてなしたいという意思や参画を吐露し、具体的な内容を企画し始めるようになった。
神戸で主体として目覚めたおかんアーティストが豊島の母の主体性を目覚めさせるというように、担い手が担い手を育み、展覧会を企画するようになっていく点に独自性がある。
この相互作用を通して婦人らが地域の文化活動の担い手となり、継続的な活動が可能となる。
総括
神戸においては、おかんアーティストと呼ばれる高齢者が若手クリエイターと共に主体的に展覧会の企画に参画し、実施することができるようになってきている。2014年度より、「おかんアート展」から「おかんアートとハンドメイド展」と名称変更し、2015年度は、昨年度より出展者も増加し、多様な主体が参画するに至った。
豊島においては、2014年度に引き続き、神戸のおかんアーティストが豊島を訪問した。2年目ということで、より打ち解ける中で、神戸での経験を共有することで、豊島の婦人らが瀬戸内国際芸術祭の来訪者をもてなしたいという意思や参画を検討するようになった。
今後、豊島において継続的なおかんアート展を開催するためには、神戸同様に若いクリエイターなど多世代の主体が協働するしくみづくりが必要になると考えられる。
若手クリエイターと婦人らとの横のつながりを形成することが今後の課題となる中で、既存の枠組みを緩めるためにも地域内だけでなく、地域外のコーディネーターが必要であると思われる。
おかんアートファッションショーの様子
神戸でのおかんアートとハンドメイド展
豊島家浦老人会での手芸交流ワークショップ