アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

スキヤキオリジナル巨大人形制作事業

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド実行委員会

実施期間
2015年4月30日~8月23日

活動の目的

地元伝統の巨大あんどんとメキシコの巨大人形に共通する灯りと色彩、昨年モザンビークの講師から学んだ制作ノウハウを融合させた巨大人形の制作とパフォーマンスを行う「スキヤキ巨大人形隊」を結成する。さまざまな文化との交流から生まれた独創性の高い新たな地域文化として発展させていくことを目的とする。

活動の内容

昨年のモザンビーク巨大人形制作をきっかけに結成された「スキヤキ巨大人形隊」のメンバーを中心に7月から作品制作に取り掛かった。8月にはメキシコから講師が来日し、約10日間にわたるワークショップを開催。昨年の経験や南砺市の伝統技術などを活かし、受講生やスタッフ、講師が試行錯誤を繰り返しながら2体の巨大人形を完成させた。フェスティバル期間中にはブラジル打楽器の市民楽団とともにパレードおよびステージなど多くの発表の場に出演。会場全体を盛り上げ、好評を博した。フェスティバル以外にも、350年の歴史を持つ地元「夜高祭」の前夜祭をはじめ県内各地のイベントにも多数出演し、大きな注目を集めた。
実施場所: 南砺市福野文化創造センター「ヘリオス」、南砺市園芸植物園ほか

参加作家、参加人数

巨大人形の聖地と言われるメキシコから講師1名が参加。制作サポートとして県内アーティスト、伝統工芸作家が参加。地元のオープンスペースで公開制作を行い、多くの地域住民が見学のみならず製作にも参加した。フェスティバル期間中には12,000人が来場し巨大人形によるパフォーマンスに注目が集まった。

他機関との連携

南砺市、富山県、文化庁、メキシコ外務省

活動の効果

昨年の制作ノウハウと今年メキシコから迎えた講師との長期間にわたる交流から得た新たな美術要素、さらに地域の伝統文化を取り入れた巨大人形を制作しパフォーマンスを行うことで、参加した市民、観客にとって地域文化と世界各地の文化の素晴らしさを再確認する機会となった。年間を通して活動する市民団体を結成し、市内外のイベントへ多数出演するなど、新たな音楽文化の創造と発信を行っている。

活動の独自性

メキシコにおいて死と生まれ変わりの象徴である骸骨とメキシコの神話にも登場するジャガーをモチーフとした巨大人形2体を完成させた。メキシコの巨大人形と南砺市福野に伝わる「夜高あんどん」はそれぞれ長い伝統の中で制作技術と美術要素を発展させてきたが、そこには鮮やかな色彩と灯りといった共通点があった。全くの異文化に思える海外との共通点を発見することは、制作やパフォーマンスに参加した市民にとって自らの地域文化をあらためて見直すきっかけとなった。今後も地域と世界各国の文化を融合させた独創的ながら地域に根付いた芸術文化の創造と発信を行う団体を育成していく。

総括

2014年に初めて行った巨大人形の制作とステージやパレードでの音楽に合わせたパフォーマンスは子どもから大人まで多くの観客を引き付け、各種メディアでもスキヤキの新たな顔として大きく取り上げられた。制作に関わった市民は大きな手ごたえを感じ、今後も継続して活動を続ける団体として「スキヤキ巨大人形隊」を結成。本年度は地元で350年以上の歴史を持つ「夜高祭」の前夜祭に出演したり、祭りに伝わる巨大あんどんの制作者が人形隊に加わるなど地域伝統文化との交流がより活発になった。制作は、来日前のメキシコ人講師から届いたデザイン画をもとに粘土で頭部の型を作るところからスタート。胴体の骨組みや背負子の改造などに初年度の経験と反省を活かし、軽量化や重心のバランスなどを改善しながら制作を進めた。講師来日後は、今回の人形デザインの文化的背景や特徴的な色遣いなどを学びながら巨大人形2体を完成させた。フェスティバル期間中は昨年制作した人形と共にパレードやステージに登場し、ユーモラスなパフォーマンスで観客を魅了した。フェスティバル後も県内各地のイベントに多数出演し人気を博した。
今後もさらに世界各地の人形文化やフェスティバル文化を取り込みながら地域文化に根差した人形を制作し、さらにパフォーマンスの質を高めながら活動を続けていきたい。

  • 張子で作った骸骨の顔に着色をする

  • 人形を担ぎ、音楽に合わせての操作練習

  • ブラジル打楽器の演奏に合わせてパレード