アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

月出創生計画

月出工舎実行委員会

実施期間
2015年4 月~2016年3月

活動の目的

「月出創生計画」とは、地域社会を支える担い手を育み、地域資源を再活用しながら「創ること・生きること」を学べる場を、廃校を利活用して遠い未来ではない、持続的社会をつくることを目的とする。

活動の内容

「月出創生計画」は四つのプロジェクト「遊、食、学、匠」で構成される活動をしており、平成27年度は以下を重点活動として取り組んだ。
〈アーティスト・イン・レジデンス〉「日本の伝統技術を受け継ぐ精神性の再発見」
荒廃した里山環境を再生させ、協働を通じた持続的地域再生に取り組み、その恩恵から建材をいただき、古来の生活と精神性をあらためて学ぶ機会をつくる。
〈ワーク・イン・レジデンス〉「里山に生きる生活の知恵の価値創生」
里山特有の文化や資源を学び知るために、地域住民が主役となれる機会と生きる活力を感じられる場を創出する。専門性のある方を招聘し、若者の実践的活動を通じて新たな地域産業を提案する。
実施場所:千葉県市原市月出1045 旧月出小学校

参加作家、参加人数

チョウハシトオル(やきいも日和)、高岡友美・永森志希乃(風景と食設計室ホー)、杉山亜紀(杉山ジャム工房)、柴原立子(RITZ FARM)、岡博美(染工房「呼吸」)、新田悟朗(尾道空き家再生プロジェクト)、山本慎一郎(山本佐太郎商店)、山成美穂(谷根千こどもアトリエ)、石川晋平(小湊鉄道)、若井明夫(どぶろく特区みらい)、安江和輝(黒川建築)、岩間賢(美術家)
来場者数:延べ5,000人/年

他機関との連携

いちはらアート×ミックス実行委員会事務局、東京芸術大学、愛知県立芸術大学、(株)ちばぎん総合研究所、湖畔美術館、市原商工会議所、市原青年会議所

活動の効果

ヒト:地域内外に開かれた交流・活動拠点の創出
多世代・多様な経験の方が共に活躍し、地域再生に向けた持続的活動基盤が生まれた。
モノ:地域オリジナルの訴求力を持つソフト開拓
地域資源と芸術が複合した革新的価値の社会提案を行った。
コト:異分野、他地域との新たなネットワーク構築
地域住民や参加者の新たな視点を付加したことで、特に岐阜や愛知との広域連携が図られた。

活動の独自性

「月出創生計画」は、「地域創生」が国の重要戦略に位置付けられる以前から、準備・運営・実施がなされていたことは特筆する点である。
また、全国各地のアートプロジェクトに関わる人材を企画立案に関与させ、サポーター制度の導入、自立型モデルのソフトプログラムの開発、地域協働のものづくり、国際交流など活動初期段階から行政・地域・研究機関が発展かつ継続できる展開を視野に入れた手法も特色といえる。

総括

2014年に開校した「月出工舎」では、今から10年後の未来を多視点な角度から捉え、美術も、建築も、音楽も、デザインも、ダンスも、農学も、社会学も、生命研究も、分野や世代を超えて共振する場をつくり、新しい世界観・知を創生することを目指し活動を続けてきた。
本助成を活用して、春イベント「なにかしたくなる」では、「月出工舎」に訪れた人が、春の月出を感じるワークショップを開催し、国内外からセレクトした作品や逸品を展示した。秋イベント「つながることーみんなでつくるがっこうー」では、来春から開設を予定している「月出工舎」の工房計画に沿って、地域内外で活躍されている方々をお呼びし、これからを考えるきっかけとなるカフェトークを開催した。従来のセミナーとは違い、さまざまな価値が触発し合い、新しい出会いやつながりをつくった。
これらの実績が評価され、平成27年度の総務省「公共施設オープン・リノベーション」に採択された。

  • 春イベント「なにかしたくなる」

  • 夏イベント「藍の生葉染ワークショップ」

  • 秋イベント「つながることーみんなでつくるがっこうー」