活動の目的

劇場のさまざまな機能を拡張した複数カ所の拠点を、地域住民の生活の線上に設け、子どもから高齢者まで多層な人がアクセスできる場を、地域およびアーティストと連携して立ち上げる。高齢化が進むなかで増えている空き屋の再生、および利用者の減少が著しい集会所の新たな活用の二つの点を基軸に、新たなスタジオ展開を行う。

活動の内容

①拠点形成のための空き屋や施設のリサーチ、リノベーションリサーチ先：空き屋 5軒、空き施設2軒、古民家1軒、公民館2軒、商店街店舗1軒、既存のスタジオ1軒
＞神戸市・建築事務所・空き縁ネット等と連携しながら、空き屋、古民家、公民館等の施設を約10件リサーチし、拠点として形成可能な施設の洗い出しを実施。その中で駒ケ林町2丁目古民家をリノベーションしアトリエ「AOZORAハウス」を開設、さらに4カ所の既存の施設での実施を決定した。
②創作および交流する場の創出
会場：AOZORAハウス、駒ケ林会館、角野邸、スタジオ・フラヌール、大正筋商店街店舗
＞複数のアーティストが作品創作の場として活用しながら、スタジオ発表として作品上演も実施。地域住民が多く来場した。ストレッチ講座を毎週実施し、地域住民との交流を図った。

参加作家、参加人数

参加アーティスト：目黒大路、千日前青空ダンス倶楽部、文、セレノグラフィカ、内田結花、高木貴久恵、藤原美加、山本和馬、上野愛実、田添幹雄、川瀬亜衣、住吉山みのり、中島由美子、aki、山田知美、西岡樹里、木村玲奈 他　計約20名
参加人数：「妖怪ショー!」12回計276名、「Angel House」4回計65名、山本和馬Diversionシリーズ3公演8回計150名、「私を振り付けてプロジェクトvol.1-3」3回78名、「木村玲奈・西岡樹里ダンス小公演」2回51名、「ストレッチ講座」38回計約410名
総計約1,030名

他機関との連携

リサーチ協力：空き縁ネット、スタジオ・カタリスト（建築事務所）、NPO法人芸法、駒ケ林まちづくり協議会、r3、神戸市、他プロジェクト協働：駒ケ林まちづくり協議会、NPO法人芸法、コミュニティハウス・リボーンプロジェクト

活動の効果

・9公演（計29回）スタジオ公演を、年間を通して実施できた。地域住民の来場者が非常に多く、定期的にスタジオ公演に来場される方も増えてきた。
・毎週実施した「ストレッチ講座」では、口コミが広がり参加者が継続して増加した。また参加者がストレッチ講座のファシリテートを務めるアーティストの公演に来場、手作りの野菜や料理を定期的に差し入れする等、新たなつながりが生まれている。
・「スタジオ」が恒常的にあることで、強度のある「新長田」発の作品や活動を生み出すことができ始めた。

活動の独自性

・劇場だけに留まらない活動の広がりが出てきたこと。
・不動産、建築等の新たな領域の専門家と連携する事業へと発展できたこと。また旧駒ケ林保育所は、ダンスボックスだけではなく、地域のさまざまな団体と協働しながら再利用の可能性を探る展開へと広がっている。
・地域の公民館等の施設を利用することで、公演での来場者層の広がりが出た。
・商店街に位置する劇場が、地域住民が居住するエリアに拠点を構えることで、これまでアクセスできなかった層に細やかにアプローチできた。

総括

・当事業を通して、劇場ArtTheater dB神戸の活動の広がり、来場者・参加者層の拡充へとつながっていった。2017年度は「文化庁劇場音楽堂等活性化事業」の一環として実施し、より安定した運営基盤を維持しながら展開していく。
・2016年度での実施を通して、2017年度には新たな試みを取り入れたいと考えている。衣装や美術スタッフ等舞台芸術に関わるさまざまな人材の、創作の場であり、実験的な試みができる「バックヤード」に取り組みたい。作品を制作する環境を総合的に捉えてきたい。また、“衣装”や“美術”といった要素が入ることで新たなつながりの創出に期待する。
・2017年度も引き続き公民館の活用も同時に実施していきたい。公民館を活用することで地域の自治体との連携が恒常的になり、また地域住民からの信頼を得やすくなり、公演への来場者層への広がりへとつながった。利用者の減少傾向がある公民館をさらにリサーチしていきたい。
・在日コリアン、ベトナム人等のコミュニティーが混在する新長田において、よりいっそう地域住民の生活線上において当事業を実施するなかで、その特性を活かしたプログラムづくり、言語面でのバリアフリー化に努めたい。

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  リノベーションにはアーティストや地域住民が参加

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  山本和馬Diversion「ランデブー」アトリエ公演

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  目黒大路「妖怪ショー！」地域の公民館を活用