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アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ
活動の目的
住民の高齢化や建物の老朽化など、コミュニティーの営みが急速に変化しつつある地域において、現代のアーティストとともに空き家などを活用した創造活動拠点の創出や、地域コーディネーターの発掘、また福祉や教育、まちづくりなど、他領域との連携・協働を図り、住民による持続可能な地域づくりに寄与することを目的とする。
活動の内容
① 旧今宮小学校に残る陶芸窯や学習園、廃材などを活用し、誰もが立ち寄れる地域に、開かれた<作業場>をつくるプロジェクトを展開。
② 「新・福寿荘」レジデンス事業:西成区内の長きにわたり培われてきたものづくりの技術や道具に着目し、リサーチを始動。
③ 「kioku手芸館 たんす」に通う地域の女性たち(コアメンバー)が運営の担い手になることを目指し、オリジナルプロダクト開発やアーティスト独自の手法を取り入れた服づくりを展開。
④ 「西成・子どもオーケストラ」:地域団体との共催によるワークショップを実施するほか、身の回りのものを活用した楽器づくりも始動。
⑤ 公立文化施設にて「アート×まちづくり」をテーマにラウンドテーブルを開催。
実施場所:西成区山王・今宮エリア周辺、大阪府立江之子島文化芸術創造センター(西区)
参加作家、参加人数
① きむらとしろうじんじん、坪田直、安藤聡、ブブ・ド・ラ・マドレーヌ[参加人数]延べ806人
②青田真也[リサーチ件数]28件
③西尾美也[参加人数]延べ860人
④ 伊達伸明、大友良英、ンコシ・アフリカ、井上智士、 PIKA、横沢道治[参加人数]延べ587人
⑤古橋敬一、吉田有里ほか[参加人数]67人
他機関との連携
■企画運営の連携:今宮ふれあい地域活動協議会、今池こどもの家、いまみや小中一貫校、今宮工科高校、にしなりあそぼパーク★Projectなど ■広報の連携:西成区役所、飛田地区商店街連合、山王連合振興町会など
活動の効果
空き店舗や廃校などの地域資源を新たな価値で捉え直し、魅力的な作業や活動を発生させることで、子どもから高齢者まで多様な世代や層の人々が集まる場として定着しつつある。どの活動も時間をかけ継続的に展開していくことで、住民の個々の創造性や当事者意識を高めると同時に、活動の担い手へと変貌を遂げつつある。今後ますます高齢化していく地域において、コミュニティーの新しいあり方について考える機会となっている。
活動の独自性
地域に開かれた創造の場をアーティストや住民たちと共につくっていく社会実験に取り組み、活動を通して新たな地域コミュニティーのあり方を探求していること。関わるアーティストにとっても新たな表現活動への挑戦となることを重視していること。また、空き家や廃校などを活用した創造活動拠点の場づくりや子どもオーケストラの取り組みは、それぞれが地域の活動として(ゆくゆくは新たな公共の事業として)定着していくことをイメージし、地域の福祉や教育、自治会やまちづくり等の組織と連携を図り、活動の継続に向けた新しい仕組みづくりに取り組んでいることも活動の独自性と考えている。
総括
2年目を迎える廃校を活用した作業場では、継続して場を開き、参加者とともに魅力的な作業を発生させていくことで、場の質も高まってきた。継続して関わる人が担い手となり、新たに立ち寄る人を受け入れていく体制ができつつある。将来的に、廃校跡を常時開いていくことについても、町内会と共有できるようになったことで、今後、新たな仕組みづくりに踏み込んでいけるのではないかと考えている。<新・福寿荘>と<たんす>では、新たにアーティストを迎え、プロジェクトを始動。それぞれが新たな表現活動への挑戦となっており、次年度、さらに地域と関わりながらどのような作品(活動)を展開していくのか期待したい。特に、地域の女性たちと新たなブランドを立ち上げる予定の<たんす>のプロジェクトでは、参加者たちの創造性がさらに開花していくという状況に注目している。<西成・子どもオーケストラ>では、新たに楽器づくりに着手するなど、次年度のまちなかでの発表に向けて準備を進めたほか、地域主催のイベントと共催で即興オーケストラのワークショップと発表を行い、恒常的な「音の場」づくりに向けて地域へのプレゼンスを高めることができた。
「作業場あいてます!」@旧今宮小学校
たんすに通うコアメンバーの地域の女性たち
西成・子どもオーケストラ ワークショップ