アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

月出創生計画2016

月出工舎実行委員会

実施期間
2016年4月~2017年3月

活動の目的

「月出創生計画」とは、地域社会を支える担い手を育み、地域資源を再活用しながら「創ること・生きること」を学べる場を廃校を利活用してつくり、持続的社会をつくることを目的とする。

活動の内容

「月出創生計画」は四つのプロジェクト「遊、食、学、匠」で構成し活動をしてきた。2017年春に開催される「いちはらアート×ミックス」に向けて以下のプログラムを実施した。
#アーティスト・イン・レジデンス#「日本の伝統技術を受け継ぐ精神性の再発見」
荒廃した里山環境を再生し、協働を通じた持続的活動に取り組み、古来の生活と精神性をあらためて学ぶ機会をつくった。
#ワーク・イン・レジデンス#「里山に生きる生活の知恵の価値創生」
里山特有の文化や資源を学び知るために、地域住民が主役となれる機会と生きる活力を感じられる場を創出した。
#ワークショップ、地域調査、勉強会の実施#
新規参加作家に継続的に関わっていただくために、ショートプログラムとして取り組んだ。

参加作家、参加人数

新規参加作家(3組):
・岡田杏里(美術家)
・鈴村敦夫(壁画家)
・松原東洋(舞踏家)
継続作家(5組):
・岡博美(染織家)
・塩月洋生(建築家)
・チョウハシトオル(デザイナー)
・風景と食設計室ホー(高岡友美・永森志希乃/美術家)
・岩間賢(美術家)
来場者数:延べ4,000人/年

他機関との連携

いちはらアート×ミックス実行委員会事務局、東京藝術大学、愛知県立芸術大学、(株)ちばぎん総合研究所、湖畔美術館、市原商工会議所、市原青年会議所

活動の効果

「晴れたら市原へ行こう」展+アーティスト・イン・レジデンスの実施
総務省「公共施設オープン・リノベーション」に採択され、春イベントとして成果報告展を行い、廃校利用の再活方法などを提案した。
ワーク・イン・レジデンスの実施
革新的価値をこの地から発信していくことを目指して、藍の栽培に着手し、新たな地域資源の具体的な活用を提案した。
ワークショップ、勉強会、フィールドワークの実施
新たな持続プログラムを構築するために3組の作家を加え、地域住民や協働者との連携した活動を複数実施した。

活動の独自性

「月出創生計画」は、「地域創生」が国の重要戦略に位置付けられる以前から、準備・運営・実施がなされていたことは特筆する点である。
始動時は全国各地のアートプロジェクトに関わる人材に多く協力して頂いたが、現在はサポータ制度の導入によって地域住民や敬老会などが継続的に関与している。
行政・地域・研究機関と美術家をはじめとする表現者や専門家が、今から10年後の未来を多角的に捉え、美術も、建築も、音楽も、デザインも、ダンスも、農学も、社会学も、生命研究も、分野や世代を超えて共振する場をつくり、新しい世界観・知を創生することを目指し活動している点も特色といえる。

総括

本助成を活用して、市内に五つある廃校をどのように活用できるか、その先駆的事例として春イベント「晴れたら市原へ行こう」展を開催した。同時にアーティスト・イン・レジデンスとして塩月洋生(設計家)による滞在制作が行われ、作品「閒(あわい)」を創り上げた。これらの活動と合わせて里山環境整備なども実施した。夏には岡博美(染織家)によるワーク・イン・レジデンスが行われJAPAN BLUEと称される藍を顔料化する研究が始動した。松原東洋(舞踏家)と風景と食設計室ホーは、2017年春の公演に向けて、地域調査や勉強会を継続的に実施した。岡田杏里(美術家)、鈴村敦夫(壁画家)、チョウハシトオル(デザイナー)は、「月出工舎」の工房計画に沿ってワークショップを行い、2017年度以降の作品プランやプロジェクトが立案された。これらの活動が評価され、市内外からの視察数が前年比の3倍に増えるなど波及効果が徐々に出始めている。

  • 地域資源の活用「藍の絵具づくり」

  • 作品「火処(ほど)」の棟上げ式

  • 作品「閒(あわい)」の制作風景