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アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ
活動の目的
地域に根ざし、表現を抑圧されがちだった人たちと芸術活動を行うこと。単身高齢者や、障害者や刑余者、薬物依存などの生きづらさをかかえた若年層などと出会い、社会的な繋がりを創出し、表現の可能性をさぐること。
活動の内容
釜ヶ崎というまちを大学にみたて、「学び合いたい人がいれば、そこが大学」として、地域のさまざまな施設を会場に講座を開く。炊き出しの会場、野宿の方が休憩する場所、町会の施設、保育園などが開催会場となった。地域内外のひとや旅人が出会い、表現し合う。天文学、哲学、美学など、年間約90講座を開催。この講座で開発された手法を鳥取の「鳥の演劇祭」で試みるなど、地域外へも活動が普及している。
実施場所:大阪市西成区太子、萩之茶屋、山王、鳥取県など
参加作家、参加人数
参加講師:西川勝(臨床哲学)、砂連尾理(振付家)、中西ちさと(振付家)、中川眞(音楽学)、尾久土正巳(天文学)、野村誠(作曲家)、山本則幸(指揮者)、華雪(書家)、上田假奈代(詩人)、他
講座参加者数:2,470人
他機関との連携
大岡信ことば館「釜芸がやってきた!」に成果作品展示。また、「鳥の劇場」で開催された「鳥の演劇祭10」では合作俳句のワークショップを開催。秋には、インドネシアの舞踊研究者によるジャワ舞踊の講座を開き、その発表会を大阪市立大学にて行う。
活動の効果
旧年から講座へ通い続ける参加者は自分の知識欲や好奇心をさらに満たすべく積極的に参加に取り組んだ。本年度から新しく参加された方々も自分を表現すること、また、それを受け取ってもらえる喜びを発見し、満足を得られた。さまざまな境遇・過去の体験・価値観を持つ者同士が、分かち合える場を提供できた。
活動の独自性
釜ヶ崎芸術大学での出会いと表現の場は、参加者にさまざまな可能性を提供できる。単に知識を提供するのみではなく、参加者が自分を語り、表現する喜び。人の表現を受け取る喜び。最近は、このまちに暮らす人々のみならず外部からの参加者も増え、よりさまざまな人々の表現を体験できる場となっている。
総括
本年度初めに、誰もが釜芸の教授として参加できる「教授会」を開催した。成果発表の方法・講座運営内容の検討・運営資金の確保等、さまざまなことを検討し、その内容を2017年度の運営に活かすことができた。例えば、成果発表の場である釜ヶ崎オ!ペラの規模を例年より縮小し、逆に開催回数を増やすことで、経費削減とカンパ募集の機会を増やすことができた。教授会で多人数の参加者から多様な意見を汲み取れたことによる成果である。昨年下期より開始したボランティアメンバー(アートマネジメントプログラムプロフェショナル見習い)の活動は、さらに構成員も増え、釜芸の運営に重要な位置を占めている。
講座の種類も詩や俳句等、従来の人気講座の開催のみならず、新講座として行動学・舞台照明・服飾・おかゆづくり等を開催し、参加者に新しい視点や好奇心を与えた。運営方法や講座内容ともに、過去を踏襲せずに斬新さを保ち続けた1年であった。
「オーケストラ!音楽とことばの庭」講座
「鳥の演劇祭10」みんなでGO!合作5・7・GO!
「ジャワ釜舞踊」講座。インドネシアの舞踊研究家の指導のもと学ぶ