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- 信濃の国 原始感覚美術祭2017-みのくちまつり
アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ
活動の目的
湖と田んぼの繋がる原初的風景の木崎湖に、パプア・ニューギニアの秘境探検を行った探検家の西丸震哉の記念館が建つことから始まった原始感覚美術祭によって、生活や信仰、農業、経済、科学など分化できない生きることそのものを繋ぐ、新たな在り方の「文化」をつくることを目的とする。
活動の内容
8年目となる原始感覚美術祭は、祭りそのものを行った。祭りとはジャンルを超え、世代を超えた出会いの場であり、究極的なワークショップである。美術=舞台。身体=舞。音声=唄、音楽、言霊。食=なおらい、と総合芸術としての祭りを生み出した。市民が自主的に企画を行い、海外から訪れるマレビトとしてのアーティストと、訪れる人すべてが共に祭りを作りあげた。
千年の森祭、石器で木を伐る、原始感覚シンポジウム、ネットワークフェスティバルフォーラム、葛目絢一トリオライブ、野外上映会「山の木霊」、原始感覚獅子舞、市が立つ、源流美麻太鼓、タテタカコライブ、みのくちぬなのうた、田口ランディ×中津川浩章×石坂亥士×杉原信幸、ジャン・サスポータス×齋藤徹、なおらい
実施場所:長野県大町市
参加作家、参加人数
ジャン・サスポータス、齋藤徹、田口ランディ、中津川浩章、石坂亥士、杉原信幸、森妙子、河合拓始、杉原信幸、淺井真至、佐藤啓、中村綾花、ハ・ジョンナム、黒田将行、田口竜三、下川晋平、○△□、長谷部勇人、佐々きみ菜、ジェス・ラウ、林奈純、麻柄一志、加藤種男、田野智子、久保田翠、片岡優子、熊谷薫、佐藤隼、ヒノミコ、望月幸海&日姫、祝祭ほか
延べ参加者617人
他機関との連携
■木崎小丸山学術発掘調査団とシンポジウムを開催。■サニーフィルム、シピリカと野外映画上映会を開催。■千年の森自然学校と千年の森祭を開催。■アートアンドネットワーク(AAN)と協力してフォーラムを開催。
活動の効果
地元の源流美麻太鼓の子どもたちの演奏と原始感覚獅子舞の即興コラボレーションは素晴らしい盛り上がりを見せ、伝統と革新、世代を超えた創造の現場が生まれた。祭りの後、興奮冷めやらぬ観客の一人の子どもが太鼓を叩き始め、石坂亥士さんの神楽太鼓が加わり、演者と観客がともに踊り続ける、残り火の消えない焚火のような祭りの場が生まれた。このような祭りの場が生まれることで、参加者の心に祭りの火を灯していく。
活動の独自性
木崎湖畔で無農薬のお米作りを行う農家の心意気に惹かれて集まった仲間たちが、大地とともに生きる「生活における花」としての祭りを作り上げてきた。原始感覚というテーマをもとに、ジャンルを超えた表現者が集い、木崎湖の豊かな自然とその地に暮らす人と出逢うことでしか生まれえない常設作品を制作し、原始感覚の里を形成する。滞在作家が地元民と結婚、定住し、赤子が生まれ、外部と内部を結ぶ場になっている。地元で面白いことをやりたい人自らが企画を行い、実現できる場となることで、継続的な祭り作りを行う。
総括
伝統的な祭りに合わせ、3日間に凝縮し、パスポートをやめ、クラウドファンディングと祝儀のみで開催することで、地域の方や外部の方がたくさん参加してくれた。滞在制作は1週間と短く、若手を中心に行ったために印象に残るものが少なかったので、次年度は滞在制作に力を入れたい。千年の森にて黒田将行が自作磨製石器で檜を切り倒す予定だったが、広葉樹を何本も切っている石器だが針葉樹は夜までかかっても切ることができず、最終的に鉄斧を使って切った。縄文の石器文化は広葉樹、弥生古墳の鉄器文化は針葉樹であることを身をもって体験した。ジャン・サスポータスさんのワークショップはたくさんの人が参加し、地元の方からも、来年もぜひジャンさんを呼びたいという声が上がるほど好評だった。齋藤徹さんは昨年の原始感覚美術祭での演奏の後、1年間の治療を経て生還し、復帰イベントとして演奏した。その命の音の響きとそれに応答するジャンさんの素晴らしいダンスが行われた。体調不良によって参加できなかった平野ももこの代わりに、田口竜三さんが檜の皮を器にした美しく美味しいマクロビ料理をなおらいとして作り、参加者全員で味わった。
原始感覚獅子舞×源流美麻太鼓
杉原信幸、淺井真至、黒田将行ほか
ジャン・サスポータス×齋藤徹