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アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ
【自主・共催助成】大地の芸術祭事業(越後妻有 大地の芸術祭 2022・「大地の芸術祭の里」越後妻有 2023 冬)
大地の芸術祭実行委員会
- 実施期間
- 2022年4月1日~2023年3月31日
活動の目的
大地の芸術祭は、「人間は自然に内包される」というコンセプトのもと、現代アートを通じて人と自然の関わり方において新しい価値を生み出し、国内外の文化交流人口を増加させることで地域振興を図る。また、過疎高齢化が進む越後妻有地域において、地域に内在する価値を、現代アートを媒介として掘り起こし、その魅力を高め、世界に発信し、地域再生の道筋を築くことを目的とする。今回新たな取組として大地の芸術祭を長期開催し、四季を通じた企画展を実施することで、季節ごとに移り変わる本地域の魅力を発信し、通年誘客促進を試みる。
活動の内容
越後妻有 大地の芸術祭2022は、4月29日から11月13日までの計145日間開催した。過疎高齢化の進む日本有数の豪雪地である十日町市・津南町からなる越後妻有地域全域にアート作品を展開し、期間を通して様々なプログラムを企画・実施した。越後妻有地域は、「十日町」「川西」「中里」「松代」「松之山」「津南」の6つのエリアで構成されており、約760㎢の広大な地域を巡るなかで里山の暮らしぶりを体感することができる。加えて、芸術を五感で楽しめるよう、地元食材を使った郷土料理を提供するレストランや各種バスツアーを用意した。また、大地の芸術祭 2022の会期外である冬シーズンにおいても企画展「大地の芸術祭の里」越後妻有2023冬を実施し、通年誘客促進を図った。
参加作家、参加人数
大地の芸術祭2022では、38の国と地域から263組のアーティストが333作品を圏域全体で展開し、入込客数は計574,138人を記録した。また、準備活動と会期運営のため延べ活動人数で901名ものサポーターから参加いただいた。
冬の企画展では、入込客数が6,287人となり昨年比160%であった。
他機関との連携
特定非営利活動法人越後妻有里山協働機構と芸術祭の開催を連携して実施した。新潟県からは事業実施に関して側面的な支援をいただいた。また今回はじめて、企業単位で作品受付に入る企業サポーターの取組を始めた。
活動の効果
2019年度から2022年度における新潟県内の経済波及効果は82億6,100万円となり2018年度の前回展を上回った。例年の開催日数約50日に対し今回は計145日間開催し、入込客数は前回展より4.7%増加。長期開催における運営方法など、次年度以降の通年誘客化の足掛かりをつくることができた。また、新型コロナウイルス感染拡大が収束しない中での開催となったが、コロナ対策としての長期開催や人数制限が、過度に混雑を生まない環境での文化芸術体験の仕組みとなり、お客様満足度が向上した。
活動の独自性
2000年から開催している大地の芸術祭は、アート作品、作品展示場所の自然・風景・食・地域住民との交流など、越後妻有の里すべてを含めたものを「アート」として展開している。来訪者はリピーターも多く、国、地域、世代、ジャンルを超えた人々の交流と協働が、過疎高齢化の進む本地域に新たな価値を生み出している。そんな大地の芸術祭は、今や国内外から50万人超が訪れる世界最大級のアートフェスティバルとなった。現代アートを媒介にした広域連携による地域づくりに取り組む先駆者として、経済効果や交流人口・関係人口の拡大を地域にもたらしている。
総括
●総入込客数及び経済波及効果は、コロナ禍での開催であったが過去最高を記録した。経済波及効果については、3つの主な要因(開催延期による算出対象年1年増、長期開催、清津峡渓谷トンネル入込増)が好影響となったと分析する。
●インバウンドに関しては、コロナ禍により2018年と比較して日本への海外来訪客が大幅に減少し、海外メディア露出や海外来訪者数は前回展を超える成果を出すことができなかった。
●初めて大地の芸術祭を長期開催したことにより、通年誘客化に向けた長期間運営を経験することができた一方、二次交通の整備や会期全体を通したサポーター確保などの課題が表面化した。
●国の指針に準じた「大地の芸術祭の里 新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を策定し、実施することで会期を通してクラスター発生等なく運営することができた。
●2023年については、2024年に控えた第9回展に向けて、今回展の課題解消に対する検証を行いつつ通年誘客を見据えたキャンペーンを展開し、併せてインバウンドへの受入体制を構築する。
イベント 田中泯「場踊り」の様子 Photo by Nakamura Osamu
清津峡渓谷トンネル マ・ヤンソン/ MAD アーキテクツ Photo by Nakamura Osamu
2023 冬 オフィシャルツアー「雪見御膳」の様子 Photo by Nakamura Osamu