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アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ
活動の目的
「記憶と記録」釜ヶ崎が大きく変化している。高齢化によって日雇い労働者のまち寄せ場が消える。ひとりひとりの人生の記憶と記録を表現として立ち上げる。地域の野宿生活体験者や元日雇い労働者とともに多世代、多様な人々がであい、表現し合う場をつくる。
活動の内容
「釜ヶ崎芸術大学という場と他者の交流空間の創出」地域内を講座の会場とすることで、地域外から訪れる人に、まちと出会う機会をつくる。地域内の人については、他者と出会い交流する空間をていねいに作る。法人の喫茶事業や地域との関わりをいかし、日常と釜芸の表現の場をつないでいる。
2019年度は「井戸掘り」に挑戦し、地域の元日雇い労働者と多世代、多様な人々がともに活動し、生きる源の水についても思いを馳せ、アートの領域を拡げた。
参加作家、参加人数
倉田めば(ピア・ドラッグ・カウンセラー)、西川勝(哲学)、高木智志(人生俳句)、蓮岡修(井戸掘り)、水野阿修羅(地域史研究家)、宮浦宜子(食文化実践家)、中川眞(音楽学者)、前川絋士(美術家)、尾久土正己(天文学者)、ソケリッサ(ホームレスダンスチーム)、オーケストラ・アミーキティアほか
講座数:120 参加者数:1,807人
他機関との連携
活動の効果
「井戸掘り」のインパクトは大きく、その理由を話すと、釜ヶ崎の背景と釜芸の意義への理解が進んだ。
地域外からの視察や見学、取材が増えた。
釜ヶ崎の地域内でも「井戸掘り」に関心をもつ人が多く、見学者が増えた。
土木経験をもつスタッフとともに活動することで、組織としてのチームワークが向上した。
活動の独自性
日本の高度経済成長を支えた日雇い労働者の街で活動していることが、独自性である。その街の変わり目に立ち会うときに、アートNPOとしての態度を崩さず、聞き、応答するという取り組みを続けるなかで、彼らを先生とする「井戸掘り」に取り組んだ。それも、長年の地域との信頼関係でもあり、継続とアイデア、実践することの大切さを表現した。
総括
ペシャワール会の中村氏が銃撃によって亡くなられた。途方もなく悲しく悔やまれる。今回の釜芸での「井戸掘り」は彼の活動の延長にある。
そこから考えると、人がどう生きるのか、一回限りの人生とは何か、を考える。人は出会いとかかわりのなかで人生の意味を変えてゆく。「井戸掘り」の活動を通して、何人かの人の人生の意味が変わってゆく姿を垣間見た。日雇い、野宿生活は世間から見下されがちだが、知恵や技術が宿ることを本人でさえ気づいていなかったことが表された。釜芸の本来の目的が達成され、そして、そこからまた取り組みたいアイデアが広がり、若い世代に伝えられたことを成果としたい。
「井戸掘り」107回、705名。スコップで4.5mの深さまで
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