アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

のせでんアートライン2019

のせでんアートライン妙見の森実行委員会

実施期間
2019年10月26日~2019年11月24日

活動の目的

兵庫・大阪をまたぐのせでん沿線とその周辺地域を舞台に2年に1度芸術祭を開催。
アート表現を通じて地域の魅力を広く伝えるとともに、参加者間の交流による新たな人の流れと新たな地域価値の創造をめざす。

活動の内容

国内外から8組のアーティストを招きアートプロジェクト、パフォーマンスを実施。2019年3月からフィールドワークやインタビュー、アウトリーチワークショップ等を通じて地域リサーチを行い、場の特性にあわせた作品を設置した。
地域ブランディング事業では、地域で活動する団体を対象に「地域プロジェクト」を公募。地域での新たな価値創造となる事業や取り組みを生むことを目的とし、12団体に資金助成等の伴走支援を行った他、期間限定のシェアサイクルも試験的に実施した。
他、地域団体と連携して飲食店や宿等の「周辺情報」や飲食店マップを作成し発信した。会期中は地域の内外から募ったサポーターと3か所のインフォメーションを運営した。

参加作家、参加人数

アーティスト:8組
ディエゴ・テオ(メキシコ)、渡邉 朋也 a.k.a. なべたん(山口)、深澤孝史(北海道)、岡啓輔(東京)、井上亜美(京都)、渡部睦子(オランダ)、拉黒子・達立夫(台湾)、コンタクト・ゴンゾ(大阪)
地域プロジェクト:参加団体12組
参加・入場者数:約22,500人

他機関との連携

実行委員会を通じた各自治体教育委員会との連携(アウトリーチワークショップの募集)、事業実施における各地域自治体との協働(告知、物件紹介などの情報提供)。

活動の効果

アートプロジェクトの過程で地域と関わりが生まれ、自治会や行政と連携し、空き家等の利活用が進んだ。電車を乗降しながら新旧の村落と里山を周遊させる鑑賞ルートの可能性を見出した。作品はどれも土地の文脈を深く反映しており、4作品を恒久設置に向けて調整している。地域ブランディング事業では地域プロジェクト参加団体への伴走支援により団体の組織化や団体間の連携が実現。周辺情報やシェアサイクルの導入も周遊性を高めた。

活動の独自性

府県をまたぎ鉄道でつながる沿線エリアを一つの地域と捉えて活動を展開。山間部に島のように開発されたニュータウン(新村落)や、キュータウン(旧村落)、里山を横断しながら、めぐり歩く芸術祭とした。テーマ“避難訓練”は2018年の大阪府北部地震や大型台風の経験から導き出されたものである。防災や災害を想起させるテーマを端緒としながら、各作品は自然と住環境が隣り合い、影響し拮抗しあってきた地域の姿と、地域に根付く信仰のあり方を捉えた。
芸術祭としての“避難訓練”はアートを通じてそれらを目の当たりにし、大小を問わない日常の様々な困難から回避する未来への経路を予感させ、精神的な避難場所を示すことが目指された。

総括

のせでんアートライン2019の特徴として、①テーマ「避難訓練」の斬新さ、②国内外8アーティストが全て新作を制作したこと、③地域リサーチを重ね地域住民と共に作った作品であること、④里山・自然だけでなくニュータウンにもフォーカスしたこと、⑤地域ブランディングの構築を目指し公募した12の地域プロジェクトの開催・支援を行ったことが挙げられる。
これらを話題とし広報に力を入れた結果、新聞・テレビなどメディアにも多く紹介され、プレイベントを含む会期中には2017年度の約4倍の参加者・来場者があった。また、海外作家の参加により海外への発信効果が見られたことも今年度の特徴となった。
一方で、作品制作にあたっての地域への説明、安全性への配慮、許認可調整、進行管理などが課題として残った。
新たにスタートした地域ブランディング事業は、2013年度からのせでんアートラインで積み重ねられた人のつながりや地域での取り組みを生かし、芸術祭の成果を通年化していくことが目指された。2019年度は地域の新たな価値創造を生むべく様々な地域プロジェクトの伴奏支援を行った結果、会期後にフリーペーパー企画や新商品の開発などの動きへと展開し続けている。

  • 渡部睦子「星見る人たちと出会う旅」

  • ディエゴ・テオ「UBASTE」

  • 深澤孝史「NEW TOWN MY HOME THEATER」