アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

紀の国トレイナート2019

紀の国トレイナート実行委員会

実施期間
2019年9月29日~10月27日

活動の目的

12の市町を鉄道とアートによるプロジェクトで繋ぎ、固有の文化に敬意をもって発信し、新たな表現に繋げていく。作品制作を通じて地域住民と来訪者の交流の場を創り出し、芸術と日常生活についての考察を深める。

活動の内容

2019年初夏から12の地域に12組のアーティストが入り、きのくに線沿線に作品を制作した。
各教育機関と連携して、子どもたちと共に制作を行い、地域住民の助けを得て開幕までに作品が完成。会期中は地域に深く潜るように散策するローカルダイブツアーを各週末に開催。ゲストを招き独自の視点でまちにスポットをあてた。
そのほか、臨時アート列車が走行し、車窓アートを鑑賞しつつ、車内で音楽その他の企画を楽しみ、地域の食文化にも触れてもらう機会とした。
またローカルダイブアートでは鉄道を離れた地域の名所でプロジェクトを展開し、大勢の人が集う新たな展開の一歩となった。

参加作家、参加人数

【参加作家】岩塚一恵/加藤文子/杉原信幸×中村綾花/郷さとこ/河合進/広谷純弘/山本祐也/木村崇人/半谷学/渋田薫/深尾尚子/宮嵜浩/石田真也/小山和則/唐口一之JAZZバンド/Jimanica/円香/中西裕二

他機関との連携

田辺商工会議所、JR西日本、12の市町、和歌山県、観光協会、などと連携して事業を実施した。

活動の効果

各地域でアーティストが地域の人々との共同制作を行い、子どもたちを中心にアートに触れ、作品の一部になる機会を提供したことは各地の教育機関から評価を得た。
近年、海外からの来訪者が増加した地域にて、世界遺産の神社境内などで英語にも対応したアートプロジェクトを開催することで、地域の文化度を世界に発信する機会となった。

活動の独自性

鉄道で各駅にあるアートを鑑賞する過去5年間の企画から新たな展開として、今年は動く列車の車窓からアートを鑑賞する「車窓アート」を行った。作品前で列車が徐行運転し、作品解説を車内アナウンスにて放送。日常のなかの移動手段として利用される列車をアートの装置と見立て、紀伊半島を舞台に体験型のアートプロジェクトを行った。

総括

6年目となる今年は、アーティストと地域との関係を丁寧に紡いでゆくことを大切に、新企画である「車窓アートプロジェクト」に取り組んだ。
JRの所有地から沿線の地域にアートが出ていったことで、土地の借用に苦労したが、地域の人々の協力を得て実現することができた。地域との共同制作を取り入れたアートプロジェクトが各地で展開してゆくことで、各地域の文化的特性がアーティストと地域の人と共同で発信されてゆくこととなった点が成果だと感じている。
車窓アート鑑賞の臨時列車当日は、豪雨で運行中止するという初めての事態に見舞われたが、JR西日本の全力の対応を参加者や関係事業者が好意的に受け止め、自然の猛威の前にお互いに感謝する雰囲気ができていったことが感動的だった。
地域外から訪れる人々と、地域に根ざして暮らしてゆく人々の文化的出会いの場を作り出す経験は今後のプロジェクトに繋げてゆける成果になった。

  • 臨時列車「紀の国トレイナート号」車内

  • 地域の人と作家による車窓アート制作

  • 世界遺産闘鶏神社での木もれ陽アート