活動レポート
2021年8月30日瀬戸内助成
Vol.15 小林和作旧居再起動計画(尾道空き家再生プロジェクト)の活動紹介
■特定非営利活動法人尾道空き家再生プロジェクト 事業について広島県尾道市は、斜面に沿って住居や寺社仏閣が立ち並び、その景観と港町としての歴史が特徴の地域です。観光地としても多くの人々が訪れ華やかな印象がある一方で、空き家となっている住居が年々増加し地域の課題となっています。それらの改修や利活用のための管理・運用を行っているのが「特定非営利活動法人 尾道空き家再生プロジェクト」さんです。
今回手がける空き家は、画家で地域の文化活動のパトロンとしても活躍した尾道市名誉市民の小林和作(1888-1974年)が、1934年から40年間、アトリエ兼住居として利用した大正時代築の和風住宅。長江通り斜面地に立地する尾道らしい景観を構成する1棟であり、高度な技術と良質な材を使用した和風住宅建築としては逸品。さらに尾道を代表する文化人の邸宅として、保存・活用を目指しています。
小林和作旧居外観
■トークイベント「小林和作を旧居で語る。旧居を語る ②画家小林和作を語る」
小林和作旧居を改修、利活用していくプロジェクトの活動として、全三回シリーズの「小林和作を旧居で語る。旧居を語る。」トークイベントを実施されています。2021年6月27日(日)には第二回目にあたる「画家小林和作を語る」が開催されました。(広島県の緊急事態宣言の発令に伴い、当初の予定から日を改めて実施)。
3回シリーズで開催されたトークイベント
トークイベント風景
※トークイベントは手指の消毒やマスク着用、窓開放による換気等、十分な対策のもと開催されていました。
イベントではタイトルの通り、改修途中の小林和作旧居の一室を会場に、尾道市立大学教授の小野環さんの進行のもと、小林和作さんの様々なエピソードが次々と語られていきました。講師は、洋画家 村上選さん、東京都美術館 学芸員の山内仁志さん。村上さんは、生前の小林和作氏と親交が深く、ここでの記憶をリアルに伝え、和作氏のお人柄やご自身の体験をお話しいただきました。山内氏は学芸員という立場から、小林和作氏の作品や芸術観に触れてお話いただきました。内と外から視点が合わさることで、建物や小林和作氏について深く学んでいける内容のトークイベントでした。
第三回目の「和作旧居の魅力と可能性」は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響のため、延期となり秋以降に開催予定とのことです。正式な開催日は決まり次第のお知らせとなりますので、参加を検討されている方は尾道空き家再生プロジェクトさんのホームページ、Facebookを随時ご確認ください。
■事業のこれから
尾道空き家再生プロジェクトさんは、これまでも多くの建物の改修・活用を手掛けてこられたからこそ、蓄積された知見のもと、様々なプロジェクトを展開されています。全国的にも問題となっている空き家対策は、改修すること自体がゴールではなく、その先にどのように活用していくかがポイントです。「単にそのまま建物を残すのではなく、活用する将来像を描きながら改修していかなければならない。保存だけではなく活用のための改修としていきたい。」と今後の展望についてお話いただきました。
建物の資質や地域の歴史を尊重しながら、小林和作旧居が新しい場として生まれ変わる時を楽しみにしています。
■特定非営利活動法人尾道空き家再生プロジェクト
HP:http://www.onomichisaisei.com/
Facebook:https://www.facebook.com/onomichisaisei/