活動レポート
2021年7月27日瀬戸内助成
Vol.14 昔から受け継がれてきた下津井の魚食文化を掘り起こし、町の観光資源にしよう!(下津井Sea Village Project)の活動紹介
■「昔から受け継がれてきた下津井の魚食文化を掘り起こし、町の観光資源にしよう!」事業について
岡山県倉敷市の南端に位置する下津井は、目の前には瀬戸内海が広がり、古くから海の交易や漁業で栄えており、人々の生活は海と密接な関係があります。6.3km²ほどの地域の中に5つの漁協が存在していることは、下津井の人々の食の中心が海にあり、その豊かさを象徴しているように思えます。現在は、人口減少と共にかつての町の賑わいが失われていき、豊かな魚食文化自体が衰退し、人々の生活から失われてしまう危機に直面しています。下津井の大切な魚食文化と、それにまつわる人々の暮らしの記憶が失われることを防ぎ、食文化から見る地域の魅力を再発見し、町の賑わいを再び取り戻していこうとする取り組みが本事業です。
■下津井の歴史
下津井は江戸から明治の中頃にかけて北前船の寄港地として栄えていた地域です。交易では、北海道からニシン粕が持ち込まれました。当時の下津井を含む児島周辺では急速に干拓が進み、塩分の残る干拓地に植えられたのが綿花でした。この綿花の増産のために欠かせない肥料がニシン粕でした。北海道でニシン油を搾った後の不要な粕が、下津井ではとても重宝され、飛ぶように売れたそうです。今日のジーンズの街児島の発展を語るとき欠かせないのがこの交易です。
また、この交易を通じて栄えた大きな商家等の家々が並ぶ街並みが下津井には今でも残っています。その昔ならでは街並みは、江戸、明治、大正、昭和とそれぞれの時代を反映しているところが見どころ。その商家を改装し、資料館として公開している「むかし廻船問屋」では、下津井ならではの特徴的な家の造りや、当時の生活について学べる貴重な場となっています。玄関から反対側の裏口まで一直線に土間が続いている住居は一見の価値があります。
下津井の街並み
■「おさかなを使ったおうちレシピ展示会」の実施
展示会会場
下津井Sea Village Projectの2021年度の事業の1つとして、2021年6月26日(土)~7月11日(日)の間、下津井シービレッジビルにて、「おさかなを使ったおうちレシピ展示会」が開催されました。
展示されたレシピは、地元の小中学校や地域の方々より応募を募り、最終的に100点を超えるレシピが集まりました。スタンダードな料理から、食材をすみずみまで活用する工夫を凝らしたレシピまで、地元ならではのバリエーション豊かなレシピが揃っていました。また、使用されている下津井の食材は魚、貝類、海藻類と、多彩な海の恵みが揃っています。地元の人々にとってはこの豊かな食材が当たり前のように生活に根付いているのだろうと、うかがい知ることができます。一年を通じて、様々な海の食材があることから、下津井の人は獲れる魚の種類や状態で季節の移ろいを感じていたそうです。
さらに展示内容は、レシピだけではないのが特徴的。「レシピにまつわる思い出やエピソード」が添えられており、「春になると母が必ず作ってくれた」「刺身にした残りのあらを活用した、ひいおばあちゃんのレシピ」「自分でとったワカメで料理した」等、下津井の方々の生活が伝わる心温まる展示でした。
展示されたレシピ(一例)
■事業のこれから
今回募集したレシピを参考に、下津井の魚食文化を集めたレシピ集の発行に向けて活動を進めていかれるとのことです。下津井の漁港では、一般の方でも港町の食を支えた旬の海産物を季節ごとに購入することができます。レシピ集が発刊された際には、地元の方はもちろんのこと、他の地域にお住まいの方もおいしい下津井の食材と料理をご自宅で楽しんでみてはいかがでしょうか?どこか懐かしくも新しい食文化との出会いがあるかもしれません。
下津井Sea Village Project
ホームページ:https://shimotsui-sv.com/
Facebook:https://www.facebook.com/shimotsui.svp/