アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

【自主・共催助成】瀬戸内国際芸術祭(ARTSETOUCHI) 2018年度

瀬戸内国際芸術祭実行委員会

実施期間
2018年4月1日~2019年3月31日

活動の目的

瀬戸内国際芸術祭および「ART SETOUCHI」活動を通じ、瀬戸内海の美を世界に向けて発信するとともに、会場となる島々の固有の民俗・文化などを現代アートを通じて発見し、さらには各島の住民やこえび隊との心温かな交流などを通じて島々の活性化を図る。

活動の内容

瀬戸内国際芸術祭の会期外となる2018年度は、「ART SETOUCHI」活動として、過去の芸術祭作品の継続公開を行うとともに、各種アートイベントやアーティストによるワークショップの開催など、芸術祭の開催効果を一過性のものとしないための取り組みを行い、年間を通じた地域の活性化に取り組んだ。
芸術祭のボランティアサポーター「こえび隊」は、継続作品の受付や来場者の案内のほか、島で行われる地域の行事などに積極的に参加し、島の住民との交流を図るなど、地域での取り組みに継続的に関わった。
また、2019年度は、「瀬戸内国際芸術祭2019」の開催年度であることから、円滑な開催に向けた各種準備活動を行った。

参加作家、参加人数

瀬戸内国際芸術祭2016の作品のうち、129作品を継続公開し、うち屋内作品公開施設の来場者数は約70万人であった。
また、ゴールデンウィークや夏休みなどの行楽シーズンを中心に、各種イベントやアーティストによるワークショップを開催し、約2,800人の方が参加した。

他機関との連携

地域の産学官で構成される瀬戸内国際芸術祭実行委員会を中心に、関係団体が連携して事業を推進した。また、教育委員会と連携し、地域の学校と連携したプログラムを行った。

活動の効果

2018年度の継続作品の来場者数は、台風などの影響があったにもかかわらず、前年度以上の来場者があり、引き続き関心の高さが伺えた。
また、ニューヨークタイムズの「2019年に行くべき場所」の中で、日本で唯一瀬戸内が選ばれたほか、国内外の多数のメディアで瀬戸内地域および瀬戸内国際芸術祭が紹介されるなど注目度も高まっている。
その他、2018年度の基準地価で直島町の地価が25年ぶりに上昇し、また、瀬戸内国際芸術祭関連の宿泊業や飲食業関連の求人が増加しているなど、地域活性化に一定の効果が見られた。

活動の独自性

瀬戸内国際芸術祭は、海と島を会場に行われた本格的現代アート展であり、美しい瀬戸内海を船で巡りながら島の自然や文化に溶け込んだアート作品を体感するという、これまでにない新しいスタイルの芸術祭となっている。
また、現代アートを媒介として、人と人とのつながりの大切さや、もともとその土地にあった魅力を多くの人々に再認識させ、地域の元気を取り戻すための取り組みとして評価されている。

総括

2018年度は、「ART SETOUCHI」活動として世界のトップアーティストが手掛けた瀬戸内国際芸術祭の継続作品を公開することで、島々の魅力を継続的に発信することができた。
また、アート作品を活用したイベントやワークショップを通じて、来場者と島民との交流の機会を創出し、来場者に地域そのものが持つ魅力を知ってもらうことができた。
こうした継続的な取組みの中で、瀬戸内のサポーターなど新たな縁を生み出していき、常に発展的に変化し続ける芸術祭を目指していく。
また、瀬戸内国際芸術祭の開催効果を一過性のものとせず、地域の元気につなげていくためには、継続して事業を実施することが重要であり、今後においても、本助成を活用させていただきながら、芸術祭を中心としたアート活動を展開していきたい。

  • 和太鼓チーム「切腹ピストルズ」によるパフォーマンス(土庄港)

  • 島のお年寄りや来場者を交えた「島のお誕生会」(豊島)