アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

【自主・共催助成】第6回大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015

大地の芸術祭実行委員会

実施期間
2015年4月~2016年3月

活動の目的

過疎高齢化が進む越後妻有地域において、地域に内在する価値を現代アートを媒介にして掘り起こし、その魅力を高め世界に発信し、地域再生の道筋を築くことを目的とする。

活動の内容

第6回目となる今回の大地の芸術祭では、過去の取り組みを土台としながら、主に下記のようなプロジェクトを展開した。
新たな廃校作品として、「清津倉庫美術館」「奴奈川キャンパス」「上郷クローブ座」を展開。また、飯山線駅プロジェクトの新作として、越後水沢駅と土市駅に台湾の絵本作家「ジミー・リャオ」の「Kiss & Goodbye」を展開した。さらには災害復旧の象徴として、H23年長野県北部地震の土砂崩跡に「土石流のモニュメント」を設置した。
実施場所:新潟県十日町市旭町251番地17 十日町市総合観光案内所内

参加作家、参加人数

参加作家数は総数363組、公開作品数は378作品と、いずれも過去の芸術祭の中で最高数となり、これまでにない規模のアートイベントとなった。作品設置集落・町内数も過去最高となり、地域内にも大地の芸術祭が浸透していることを実感できる。また、こへび隊や地元サポーターなど、多くのボランティアが参加し、大地の芸術祭を支える大きな力となった。

他機関との連携

特定非営利活動法人越後妻有里山協働機構とは、大地の芸術祭の企画立案から開催を連携して実施した。新潟県からは大地の芸術祭の実施に向けて側面的な支援をいただいた。

活動の効果

第6回大地の芸術祭の本番年として、アートに絡めたイベント、企画展を展開していくことで、来場された方にアートの魅力、さらにはこの妻有地域全体に関心を抱いていただくことができ、またそれらに携わった地域住民と交流を深めることができた。金銭的な経済効果のみならず、都市部との交流によって過疎地域の活性化に繋がっていくことが期待される。

活動の独自性

一般的な美術展やアートイベントとは異なり、里山の自然や、空家、廃校など一般的には負の遺産とされてきたものの中にアート作品を展開し、それぞれの作品がその場所固有の表現を作り出している。
また、アーティストやボランティアスタッフ、地元住民が一緒になって作品やプロジェクトを制作していく協働によって、地域に活力を生み出すとともに、アート作品を媒介にして地域の魅力を伝えていくあり方が新しいまちづくりのモデルとして注目されている。

総括

大地の芸術祭は、従来から「交流人口の増加」「地域の情報発信」「地域の活性化」という三つを主要な目的として開催してきたが、本助成によるご支援とご協力のおかげもあり、第6回展ではいずれの分野においても大きな成果を得ることができた。これまでの実績をさらに飛躍に繋げ、地域の自然や伝統文化に重きを置きつつ、これまでにない斬新で先進的な取り組みも行っていき、このアートの祭典や地域に多くの方に足を運んでもらえるよう取り組んでいきたい。

  • 「清津倉庫美術館」

  • ジミー・リャオ(台湾)「Kiss & Goodbye 」

  • 磯部行久「土石流のモニュメント」