アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

【自主・共催助成】豊島唐櫃 棚田プロジェクト

豊島「食プロジェクト」推進協議会

実施期間
2017年4月1日~2018年3月31日

活動の目的

稲作や畑作、果樹、牧畜といった日本の原風景である棚田を核として、地域住民と豊島に訪れる観光客、高い芸術性を有する「豊島美術館」が一体となったプログラムを開発し、活力ある地域社会の創生と食とアートの島として再生する活動を行う。

活動の内容

豊島唐櫃地区の棚田地区での活動が9年目を迎え、棚田を維持する活動から、棚田の持つさまざまな魅力を耕作者や豊島地区の住民が明確に認識した。そこで、来島者とともに棚田地域がさまざまな人々がふれあう空間となるようにプログラム展開する。
■住民による主体的な棚田の維持管理と住民以外の者による棚田の維持管理へのサポート体制づくり
■住民と来島者の協働による創造的な地域振興
■住民と来島者、「豊島美術館」の連携によるプログラムの展開
■棚田事業で使う農機具の購入と共同運用
実施場所:香川県小豆郡土庄町 豊島唐櫃地区の棚田とその周辺

参加作家、参加人数

約30,000人(豊島美術館入館者数と同数程度)

他機関との連携

豊島唐櫃棚田保存会、特定非営利活動法人豊島観光協会、豊島自治連絡協議会、特定非営利活動法人瀬戸内こえびネットワーク、香川県、土庄町

活動の効果

行政主導から住民主体へ、何ができるか、どのようにするかという前向きな意見や行動が出てきた。一つの例として、住民主体で来島者向けに農産物の植え付け体験および収穫体験を実施した。秋に開催する「豊島棚田の収穫祭」は地域の1つのプログラム、イベントと認識されている。また、農機具を共同で運用することにより新規耕作者の負担軽減を図る。

活動の独自性

以前の豊島は、島全体で農業漁業が盛んに行われ、島内だけでなく島外にも供給が行われるほど食に恵まれた島であった。
しかしながら、戦後の急激な経済成長による都市部への人口流出や少子高齢化等による人口減少に伴い農地の荒廃化が進んだ。
日本の原風景が残る豊島の棚田と、世界に向けた情報発信力をもつ豊島美術館が一体となることで、地元住民が中心となった棚田の復元、復元した棚田から生産された農産物を利用した新たな商品開発、また国内外からの来島者を対象にした農業体験プログラム等を開催しながら、交流人口の拡大を図り、食とアートによる豊島全体の活性化と地域の再生が図られつつある。

総括

棚田を耕作している農家は大半が65歳以上の高齢者である。10年後の棚田を考えるモデルとして昨年度先進地視察を行い、「棚田のイベントを売る」という考えを取り入れることとした。手始めに平成29年度の事業(農作物の収穫体験プログラム)はすべて有料化して実施した。結果として、参加者がその場で収穫した物をお土産として持ち帰ることで非常に好評であった。また、海外からの参加者も多く、地元スタッフとの交流活動が盛んに行われた。
今後は、豊島へのリピーター参加者を増やし、最終的には定住促進が容易に行える仕組み作りが必要であると考える。引き続き、新規耕作者対策、負担の軽減策として農機具の共同運用を行う。
また以前からの課題である、来島客に対する各種情報発信についても、次回の瀬戸内国際芸術祭に向けて引き続き検討を行う。

  • 棚田の田植え
    島外から多くの参加者が田植えを体験

  • 玉ねぎ収穫体験
    海外からの参加者が玉ねぎの収穫を体験

  • 棚田の収穫祭
    稲刈り体験、棚田のステージ等で多くの来場者