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活動レポート

2020年2月26日瀬戸内助成

Vol.11 坂出サテライトセミナー「坂出市島しょ部の歴史と民俗」(坂出市与島地区の歴史と民俗調査)の活動紹介

■坂出市与島地区の歴史と民俗調査 事業について
櫃石島、岩黒島、与島、小与島を中心に、島しょ部の伝統行事や文化についての調査研究を櫃石島出身の濱本敏広さんが実施。人口の減少により地域から消えてしまいそうな伝統や歴史、文化を残すために、調査結果を冊子にまとめます。その冊子を基に、小中学校や公共施設に配布、島歩きガイド、講演などを行い、地域の記憶を後世に残す活動を行っています。

■調査成果の報告
2月4日(火)10時~坂出市ふれあい会館にて、香川大学主催の坂出サテライトセミナー「坂出市島しょ部の歴史と民俗」が開催され、講師として濱本さんが迎えられました。会場には、30名以上の方が来場されており、急遽椅子が追加されるなど、関心の高さを伺うことができました。
講演内容は、濱本さんが長年調査・研究されている伝統行事などを、地域の歴史年表を追いながら、丁寧に説明していただきました。講演の最後には、聴講者から活発に質問が行われ非常に賑わいのある講演会となり、調査内容を地域や社会へ向けて発信するよい機会となったのではと思います。

■人工の暗礁「鳴瀬の暗礁」
松島の西部の沿岸にある「鳴瀬の暗礁」はかつて藤原純友によって人工的に石が設置されたといわれています。潮の高さによって見え隠れする暗礁は、小さな船だと通過できますが、大きい船だと暗礁の上に乗りあげてしまいます。それを戦術として活用し、敵船を小さな船で暗礁へと誘導し、座礁したところを攻撃する、といった戦いを行っていたそうです。暗礁となっている石を採取し、今後は石の出所を解明し、さらに調査を行っていくとのことでした。

■「ももて祭」や「伊勢太神楽」島に伝わる伝統行事の数々
旧与島村のエリアには島ごとに様々な祭や盆行事などが住民によって開催されていました。櫃石島の「ももて祭」は、1月の中下旬の日曜日に、島の王子神社で開催されるお祭りで、県指定無形民俗文化財に指定されています。またお伊勢参りに行くことが出来なかった人々のために神様の方から来てくださるという意味で、各家々を回り御祓いをして、集落での終わりに舞や曲などを披露する「伊勢太神楽」は、島民の楽しみにしている伝統行事の一つです。
これらは、島の重要な行事として毎年行われています。しかし、人口の減少など時代の流れにより、残っている祭りでも、その催事の意味や由来が十分に伝わらないまま形だけが残っている、ということも珍しくないのです。

 


「ももて祭」の弓矢の構え方を解説する濱本さん


■調査のこれから
今回の講演の中で濱本さんは、何度も「人々の記憶から消えてしまう危機感」を口にされていました。また、調査を進めていけばいくほど、新しい疑問にぶつかり、様々な分野に渡って調査を行われています。今回の「鳴瀬の暗礁の石の出所」は新しい課題の一つです。
伝統や歴史、文化を残すため、濱本先さんは引き続き調査・研究を行い、その結果を発信していきたいとのことです。