活動レポート

2020年3月4日瀬戸内助成

Vol.12 三原だるまプログラミング教材で、地域を興す!!の活動紹介

■三原だるまプログラミング教材で、地域を興す!! 事業について
広島県三原市の一般社団法人RoFReC(以下、RoFReC)の岡田吉弘さんが手がけるこの事業は、地元の伝統民芸品である「三原だるま」と小学校の授業でも取り上げられる注目の「プログラミング」を掛け合わせたもの。「伝統文化」と「プログラミング」の2つの側面からの教育を実現し、民芸品としての「三原だるま」の認知度をあげ、地域の子どもや保護者に親しみを持ってもらうことが本事業の狙いです。
その教材化へ向けた第一歩が子どもたち向けのワークショップです。今年度はRoFReC 主催のもと、9月と11月にワークショップが開催されました。まず、だるまの顔の部分のパーツ(目、眉、ひげ、口など)を好きなように組み合わせ、パーツに色を塗り、実際に顔にパーツを貼り付けて表情を作っていきます。そして、三原だるまの特徴的な鉢巻にはLEDが組み込まれており、さまざまな色に光る仕様となっています。プログラミングによって、このLEDの色や点滅するタイミング、長さを決めていき、オリジナルの三原だるまが完成します。子どもたちが作った個性的なだるまは、伝統民芸品を超えたオリジナリティ溢れる作品になっています。過去に実施したワークショップでは、体験した小学生はもちろん、保護者の方からも大変好評だったそうです。
Website:https://www.rofrec.jp/


だるまの顔づくりには様々な地域のだるまのパーツが使用されています。


 

■三原だるまの祭り「三原神明市」への出展
岡田さんは、「三原だるま」や本事業の認知度向上を目指し、今年2月に開催された三原神明市に出展し、ワークショップで子どもたちが作成した“プログラミングされた三原だるま“を展示しました。
「三原神明市」とは、毎年広島県三原市で開催されているお祭りで、今年は2月7日(金)~9日(日)の3日間の開催。三原駅北側に500軒もの屋台が並び、3日間で約40万人の人々で賑わう三原随一のイベントです。お祭りの至るところで目にするのが「だるま」。地元の方は、神明市で家族が増えるごとにだるまを購入し、それぞれの願いを込めた縁起物として「三原だるま」は古くから親しまれてきました。
「三原だるま」には、特徴として4つのポイントがあります。
(1) 頭に鉢巻を巻いていること
(2) 初めから顔(目)が描かれていること
(3) 「願いが成るように」と中に鳴り物が入っていること
(4) 転んでも必ず起き上がること


三原神明市の賑わい


祭りの目玉「日本一の大だるま」


一般社団法人RoFReCのブース


■後継者不足の伝統民芸品
お祭りでは、もちろん「三原だるま」の販売もありました。今では販売用の三原だるまを作る工房が一つしか残っていないので、とても貴重。駅前のブースで販売されており、次々とお客さんの手に渡っていました。
現在「三原だるま」は作り手の不足という課題に直面しています。事業を手掛けるRoFReCの岡田さんも地元の人口減少や民芸品が途絶えることに危機感を感じ、ご自身の専門でもあるプログラミングと組み合わせ、三原だるまの認知度を上げ、地域の賑わいを取り戻すことを考えられたそうです。だるま職人や三原市の職員の方、クリエーターの方など、様々な協力者のもと、次世代の人々を巻き込んで伝統に新しい風を吹き込んでいこうとしていました。


■事業のこれから
ワークショップで使用している「三原だるま」はサイズが大きく、まだまだ教材としての汎用性には及んでいません。しかし、これからだるま職人をはじめとした協力者の方々と一丸となって形にしていく計画です。
プログラミング教材をフックに、「三原だるま」の認知度向上や、ひいては新たな後継者の誕生など、これからの事業展開に期待していきたいと思います。