活動レポート

2019年12月18日アート助成

Vol.09 紀の国トレイナート2019(紀の国トレイナート実行委員会)の活動紹介

■紀の国トレイナートについて
紀の国トレイナートは、2014年にJRきのくに線の駅舎をアート作品にすることを目指し、地域の有志とアーティストらによって立ち上げられました。本年度は、走行する列車の車窓から紀伊半島の風景の中に作品を鑑賞します。芸術を通して人と列車の新しい関わりを見つめ、関わるすべての人と共に表現することを目指すプロジェクトです。
Website: http://trainart.jp/2019/
 

■車窓アートと紀の国トレイナート号
今年は地域の中にアートを設置し、車窓アートを完成させました。海沿いのまちに広がる田園風景や海岸、集落の中に設置されたアートはその土地になじんでおり、紀州鉄道やきのくに線沿線の美しい風景を背景にアート作品が展開されているのが印象的でした。会期中の10月中旬、2日間限定でJR西日本の協力のもと、臨時列車 紀の国トレイナート号が運行されました。車内は、植物を配したボタニカル車両や、地元高校写真部の作品で飾られた車両があり、列車内も楽しむことができました。アート設置区間ではスピードを落として運行したり、途中下車してホーム上からアートを鑑賞することができ、走行中は地域の食や地元温泉のグッズ(パックなど)を車内販売をしたり、車内ライブが実施されたりと地域とアートを丸ごと楽しめるプロジェクトとなっていました。臨時列車運行日、アート作品の前での地元有志による獅子舞披露があったり、地元の子どもたちが集まって、駅で臨時列車をお出迎えしてくれたりと地元の方々の地域を盛り上げようとする動きがあり、その地域ならではの体験も創出されていました。

途中駅にて梅ジュースのふるまいがありました



臨時列車から見た車窓アート「Reflection」(加藤あやこ)



臨時列車企画:ガタンゴトン(演奏:Jimanica)


列車の“ガタンゴトン“の音に合わせドラム演奏がされた



作品の前での獅子舞披露


■リピーターと地元の方々との協力
臨時列車に乗車していると、トレイナートの初回から参加されている鉄道ファンの方や、地元の方などリピーターの方が多い印象でした。リピーターの方に話を伺うと、JRがここまで地域のイベントに協力し臨時列車を走らせているのは全国でも珍しい例だ、とおっしゃっていました。また、子供の参加が多かったのも印象的でした。
 

■今後の展望
駅舎アートを中心としてはじまったアートプロジェクトですが、地域の歴史・文化を掘り起こし、今年は地域の中にアートを展開し、地域の中を回遊する人の流れを作ろうとする動きがみられました。今後の活動に注目していきたいと思います。